深堀陣屋跡の現況 (10) 長崎市深堀町5丁目
深堀氏の居城だった深堀陣屋跡の現況は、本ブログ前の記事を参照。
現況(1)は、https://misakimichi.com/archives/3862
現況(2)は、https://misakimichi.com/archives/3869
現況(3)は、https://misakimichi.com/archives/3877
現況(4)は、https://misakimichi.com/archives/3884
現況(5)は、https://misakimichi.com/archives/3922
現況(6)は、https://misakimichi.com/archives/3943
現況(7)は、https://misakimichi.com/archives/3957
現況(8)は、https://misakimichi.com/archives/3966
現況(9)は、https://misakimichi.com/archives/3995
深堀陣屋跡に建設されたカトリック深堀教会は、昨年11月24日定礎式があった。南西側箇所で主に発掘された深堀陣屋御屋敷の礎石の石組みは無残に壊された。ここに建てた建物は、どこにでも建てることができる信徒のための納骨堂なのである。
深堀教会は建設工事が完成し、2014年9月20日(土)に献堂式があった。教会HPによると、5月以降更新がなく、「ホームページの充実は今しばらくお待ちください」と、詳細がわからないので、私が昨日、新しい教会を訪ね全容を写してきた。
広大なアスファルト舗装駐車場ができ、以前の教会建物は壊していた。納骨堂の建物には「ペテロ館」と表示されていた。
「深堀陣屋跡」は、文化財保護法に基づく埋蔵文化財包蔵地として周知されている。昭和35年にカトリック長崎大司教区の所有地となったが、戦国・近世初頭期研究において重要課題である深堀氏研究が進展するためにも、今は深堀氏関連遺跡の保存にできる限り務める必要があるのに、すざましい遺構破壊の実情だろう。市指定天然記念物のアコウの樹の説明プレートも壊されたまま、まだ放置されている。
以下のとおり、私たちが「長崎市政への提案」などで、早くから史跡保存を要望していたのに、まったく配慮されていない。その後、提案は少しは進展があったが、教会の品格と長崎市・県の見識のなさが疑われる。
今となって地元深堀地区連合自治会が、石垣を景観重要建造物に指定するよう働きかけているので、来年2月の審議会に付議されるのではないかと思われる。
長崎市政への提案と回答内容
ご意見(要旨) 【深堀陣屋跡の発掘調査結果の公表と、残された遺構の保存方法】 【2014年04月受信】
深堀陣屋跡に建設されるカトリック深堀教会は、昨年11月24日定礎式があった。現在、教会建設工事が本年秋完成を目指し、急ピッチで進められている。長崎市文化財課の発掘調査は11月末で終了したが、その結果がいまだ公表されない。
南西側箇所で主に発掘された深堀陣屋御屋敷の礎石の石組みは無残に壊された。ここに建てている建物は、どこにでも建てることができる信徒のための納骨堂なのである。
史跡保存については、長崎市と教会側で十分に配慮するとの協議があっているのに、不可解な進展具合である。市民や地元にまったく説明がない。長崎市政への要望や提案を早くから提出しているのに回答をしない。長崎市長が前面に出て強力な指導をするべきでなかったか。
遺構は埋め戻し、65cmかさ上げ施工したというが、基礎工事を見るかぎりあまり信じられない話である。
破壊された遺構は、今更どうしようもない。法の不備と行政の限界、怠慢もあったが、納骨堂前の駐車場とする部分に、礎石石組みはまだ半分位は残っていると思われる。その部分は舗装しなく、柵囲いと配水設備を設置し、礎石を屋外展示してもらう方法がある。
関係者が今から協議し、これくらいは配慮して良いのではないだろうか。それがカトリック教会の品格と言うものだろう。報道機関も問題意識を持って、大いに動いてもらいたい。
深堀の殿様気分では、納骨堂の霊も居心地が悪いだろう。佐賀藩でも諫早や神代と同じような深堀領だった。佐賀の人にも顔向けができない史跡破壊の実情である。
回答 【文化財課】 【2014年05月02日回答】
深堀陣屋跡の調査結果は、平成26年度に発掘調査報告書にまとめ、県内外の公立図書館や大学等の研究機関に配布して公開する予定です。また、地元深堀の皆さまをはじめ、多くの市民の皆さまにも調査結果を知っていただくために、深堀貝塚遺跡資料館の展示コーナーで調査結果と出土品を紹介する予定です。
調査の公表にあたっては、写真・図面・出土品の整理作業が必要であり、整理作業は事業者に調査費用を支出していただき、本年度に実施する予定です。遺跡の発掘調査の整理は、時間と費用を要しますので、ご理解いただきますようお願いします。
今回の発掘調査で発見された遺構等は教会の新築工事に伴い失われましたが、発掘調査を行うことで、遺構等の記録は保存されています。また、工事内容の変更により、教会の敷地には、深堀陣屋跡の遺構が現在も多く地中に保存されています。これは開発行為に伴う埋蔵文化財(遺跡)の取り扱いとして問題ないと判断しております。
残った遺構の取り扱いについては、未来に継承するため、地中に保存することを管理者であるカトリック深堀教会と協議済みです。屋外展示は遺構の保存管理に費用が掛かり、屋外にさらすことで遺構の劣化が懸念されるため、現在のところ、地中に保存することが、後世に継承するうえで最も適切な方法であると考えております。所有者・事業者であるカトリック長崎大司教区に工事内容を変更していただいたことで遺跡への影響は当初の計画よりも小さくなっています。発掘調査費用の支出や、工事前の発掘調査期間についても配慮をいただいており、今後は整理作業の費用も支出していただく予定となっています。文化財の保護について、これ以上の負担を求めることは、行政の指導として適切ではないと考えております。
深堀陣屋跡の保護につきましては、今後とも所有者のご理解ご協力を得ながら取り組んでまいりたいと考えておりますので、ご理解いただきますようお願いいたします。