岩下洞穴 佐世保市松瀬町
長崎県指定史跡「岩下洞穴」は、佐世保市松瀬町にある。世知原町へ行くためたまたま通りかかり、寄ってみた。
国道204号線瀬戸越交差点の次となる田原町交差点から世知原町へ行く県道151号線へ入る。松浦鉄道左石駅の右高架と大野中学校など過ぎ、松瀬町簡易郵便局の先まで上って行くと、「岩下洞穴」の案内標識がある。右の細道へ下って行くと洞穴がある。
佐世保市教育研究会平成16年編HP「佐世保の歴史を調べよう」による説明は次のとおり。
岩 下 洞 穴 (いわしたどうけつ)
ここは昭和39年(1964年)佐世保市立大野中学校の生徒が発見しました。そして調査をした結果,以下のような物が見つかりました。
人骨(じんこつ)〔人の骨〕29体
土器,石器(石で作った器具),骨角器(骨で作った器具)
鳥や魚や獣の骨
炉(床の一部を切り開けて箱形にして,暖をとったり,煮炊きをしたりした所)の跡
これらによってここが縄文時代の早い時(約8000年前)から古墳時代(1700年前)までの長い時代にわたって生活の場として利用されていたことがわかりました。米作りだけに頼る必要がないほど,自然の幸(さち)に恵まれていたことがわかります。
では,どのような食べ物があったのでしょうか。
数多くのやじりや,やりが発見され,同時にたくさんの種類の動物の骨が見つかりました。イノシシやニホンジカ,アナグマ,ノウサギ,タヌキ,ニホンザル,ワシタカの一種,ヤマドリの一種などを食べていたのでしょう。また,カワニナや,ヤマトシジミ,ヤマタニシなどの貝類も見つかっています。近くの大野川から捕ってきたのでしょう。
狩りの道具以外では,石皿やスリ石も多く見つかりました。これは木の実を砕いたりすりつぶしたりしたことが予想されます。クリ,マテ,シイ,ドングリなどです。これ以外にも果物,山菜,木の実も食べていたようです。近くの森からとれたのでしょう。
また,海にいる貝や魚の骨も発見されました。これは,海の近くに住む人との交流があったことが予想されます。
写真をさつえいしたのは,8月のとても暑い日でしたが,岩のすきまからはとても冷たい空気が流れ出てきていました。昔の人にとってもここは,夏すずしく,冬暖かいところで,住みやすい場所だったのでしょうね。
発掘された人骨は長崎大学に保管(ほかん)されていて,石器などの遺物は佐世保市博物館島瀬美術センターに保管されています。ここは,長崎県指定の史跡になっています。
岩下洞穴(いわしたどうけつ)<行き方>
MR左石から,知見寺方向へ徒歩40分。もしくは,知見寺行きバスに乗り,天の久保バス停下車。徒歩5分。