深堀陣屋跡の現況 (7)  長崎市深堀町5丁目

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深堀陣屋跡の現況 (7)  長崎市深堀町5丁目

深堀氏の居城だった深堀陣屋跡の現況は、本ブログ前の記事を参照。
現況(1)は、https://misakimichi.com/archives/3862
現況(2)は、https://misakimichi.com/archives/3869
現況(3)は、https://misakimichi.com/archives/3877
現況(4)は、https://misakimichi.com/archives/3884
現況(5)は、https://misakimichi.com/archives/3922
現況(6)は、https://misakimichi.com/archives/3943

深堀陣屋跡に建設されるカトリック深堀教会は、昨年11月24日定礎式があった。現在、教会建設工事が本年7月末完成(秋と聞いていたが、教会広報では変更されている)を目指し、急ピッチで進められている。長崎市文化財課の発掘調査は11月末で終了したが、その結果がいまだ公表されない。
南西側箇所で主に発掘された深堀陣屋御屋敷の礎石の石組みは無残に壊された。ここに建てている建物は、どこにでも建てることができる信徒のための納骨堂なのである。

史跡保存については、長崎市と教会側で十分に配慮するとの協議があっているのに、不可解な進展具合である。市民や地元にまったく説明がない。長崎市政への要望や提案を早くから提出しているのに回答をしない。長崎市長が前面に出て強力な指導をするべきでなかったか。

破壊された遺構は、今更どうしようもない。法の不備と行政の限界、怠慢もあったが、納骨堂前の駐車場とする部分に、礎石石組みはまだ半分位は残っていると思われる。その部分は舗装しなく、柵囲いと配水設備を設置し、礎石を屋外展示してもらう方法がある。
関係者が今から協議し、これくらいは配慮して良いのではないだろうか。それがカトリック教会の品格と言うものだろう。報道機関も問題意識を持って、大いに動いてもらいたい。

以上、現況(6)のとおり要望していたが、長崎市政提案の5月2日付文化財課回答は、次のとおり。

深堀陣屋跡の調査結果は、平成26年度に発掘調査報告書にまとめ、県内外の公立図書館や大学等の研究機関に配布して公開する予定です。また、地元深堀の皆さまをはじめ、多くの市民の皆さまにも調査結果を知っていただくために、深堀貝塚遺跡資料館の展示コーナーで調査結果と出土品を紹介する予定です。
調査の公表にあたっては、写真・図面・出土品の整理作業が必要であり、整理作業は事業者に調査費用を支出していただき、本年度に実施する予定です。遺跡の発掘調査の整理は、時間と費用を要しますので、ご理解いただきますようお願いします。
今回の発掘調査で発見された遺構等は教会の新築工事に伴い失われましたが、発掘調査を行うことで、遺構等の記録は保存されています。また、工事内容の変更により、教会の敷地には、深堀陣屋跡の遺構が現在も多く地中に保存されています。これは開発行為に伴う埋蔵文化財(遺跡)の取り扱いとして問題ないと判断しております。
残った遺構の取り扱いについては、未来に継承するため、地中に保存することを管理者であるカトリック深堀教会と協議済みです。屋外展示は遺構の保存管理に費用が掛かり、屋外にさらすことで遺構の劣化が懸念されるため、現在のところ、地中に保存することが、後世に継承するうえで最も適切な方法であると考えております。所有者・事業者であるカトリック長崎大司教区に工事内容を変更していただいたことで遺跡への影響は当初の計画よりも小さくなっています。発掘調査費用の支出や、工事前の発掘調査期間についても配慮をいただいており、今後は整理作業の費用も支出していただく予定となっています。文化財の保護について、これ以上の負担を求めることは、行政の指導として適切ではないと考えております。
深堀陣屋跡の保護につきましては、今後とも所有者のご理解ご協力を得ながら取り組んでまいりたいと考えておりますので、ご理解いただきますようお願いいたします。

この回答の問題点は、次のとおり。
(1)これまでまったく回答や住民説明をしなく、私が情報公開条例により開示請求すると言うと、やっと今回、市は回答に応じた。市政の提案制度が適切に運用されていない。
(2)私たちが知りたいのは、発掘調査の結果、どこにどのような遺構や出土品があり、どのような歴史的価値があるかである。それにはまったく答えていない。
(3)御屋敷跡と思われる礎石石組みが主に見られたのは、南西側箇所である。遺構を壊してまでなぜここに納骨堂を建てたのか。教会、市とも史跡保存に対する見識がない。
(4)かろうじて残ったと思われる納骨堂前の遺構を保存するため屋外展示を要望しているが、まったく両者その気はないようである。
(5)遺構を壊したのをやっと認めた。石造物史跡の屋外展示は多い。屋外にさらすことで遺構がそんなに劣化するのか。地中に保存することは、単なるくさいものに蓋であろう。
(6)柵囲いは石積みで良い。排水工事もそんな費用はかからない。大進建設の奉仕でできるのではないか。教会がしないなら、長崎市の工事でできないか。
(7)長崎市長は、この実情をほんとうに知っているのだろうか。市長の市政報告会が5月27日、市民会館文化ホールで開催される。残された遺構保存にぜひ市長自ら尽力するよう、要望事項に書き出した。
(8)ある方から「将来キリスト教関係の遺跡が破壊された時、同じ気持ちになるであろうことを考えてみてください」とキリスト教関係者、長崎市にお伝えくださいと聞いている。