陸軍省要塞地帯(区域)標と海軍省軍港境域標の調査
陸軍省要塞地帯標や海軍省軍港境域標の標石探しと、研究をされている佐世保市高橋輝吉氏から寄せられた資料である。
本文は、主に佐世保市小佐々、冷水岳と、西海市大瀬戸、西彼方面の同標石のこれまでの調査記録をまとめられている。詳しくは、以前の記事にあるので参照。
高橋 輝吉氏稿 陸軍省要塞地帯(区域)標と海軍省軍港境域標の調査
陸軍省要塞地帯(区域)標の調査が終りに近づいた頃、海軍省の標石は?と見直してみた。海軍では、「軍港境域標」という。海軍省沿革史の本に境域地図があり、佐世保市小佐々町の最西端方面へ出かけた。老人漁夫の方と話し、「海軍省」と刻んだ石がありますかと尋ねると、入江などにあるとのことだった。
その初めとして、楠泊海岸にあった。「海軍水準 水路部」の水準点標石だった。その出先の岬みたいな所にも、御影石の15cm位角石があると島を指さす。鼻にありますと。干潮時に行く。佐世保軍港境域標「第221号」でした。
後日、老人の方に船を頼み、近くの入江などなどを探した。陸からも行かれるようで、後で地図を見て、1日1本のつもりで陸から探してみました。今まで10回位通ったかなー。一番多く行ったのは、神崎鼻方面。
山の老人と海の老人とは、話しの変化を見た。海の方には陸軍省要塞標の話は通用せず。海の方は干潮時でも船が繋げる所を言う。地図では干潮の図なし。何回となく、干潮時、満潮時と行ってみた。2通りあることが解かった。この一帯は亀瀬という。今までは陸の石ばかり探していたので、高い所ばかり見ていたが、海は違った。入江、干潮時になっても船が繋がれる所。船は遠浅を一番嫌う。
幸いかな、小佐々海岸の入江は、天然の港が多い。海軍はこの入江、港に目をつけた。これは日露の戦いのとき、敵艦待ち伏せ用の場所、入江かと思った。小型船ならば良い場所、入江で、良い港ばかり。この入江に、海軍省の標石が多いのが解かった次第です。
読売新聞佐世保支局が報道してくれた。針尾の方より針尾に海軍省の石ありと知らせが入り、「第128号」でした。浅子の方からも石ありと連絡あり、「第261号」明治の日付です。
これからが大変でしたね。海軍省標石探しにも変わった。耳、目の2通りの話を。特に西海市方面“用心”。西海橋の下にあると聞いても、本気にはしなかった。しかし、千綿まで海軍は水を取りに行っていた。艦船ボイラー用の必要な水です。標石は必ずあると思った。
1回目は解からず、2回目のとき四角の型石が見えたので、若しやと思い枯れ枝を取ってみると、何と海軍省の石が。青色になり横倒しとなっていたので洗い、良く見ると「第139号」でした。「明治35年11月4日」(陸自内にある石と同じ日付)。
少し元気づいたので、前に1回地元の方に連れられて行った、西彼町の白岳方面を再び探すこととした。陸軍の標石はと思い、以前、案内してくれた家に行くと、当の老人の方は亡くなられ、家族では場所がまったく解かりません。
以前、見つけたのは、陸軍の「第151号」と「第147号」。九電の送電線が見えていたのを思い出したが、25年ほどの杉山ばかりで方向がわからず、それを見つけるのに3年位かかった。(西海市寄船近くの地にも、「陸軍省 SM2ndZ 長崎要塞第二地帯標 第75号 明治32年」あり)
白岳の杉山で「第152号」を新しく発見。この石を起点として3か月後、「第151号」を再発見。「第147号」は、畠の中、段差があったのを思い出し、3回目にして再発見した。標石は石垣に埋めてありました。石の角が見えたので、この一帯には御影石なし、上より見えるのは牧草一面、段差があったので、再発見に至りました。このたび東西南北の写真を撮り安心です。
さて、大瀬戸の海軍省の石は、沿革史の地図を見ると、高帆山の西海岸にあるような気がした。大岩付近の海抜3m位、海岸近くの雑木林内にあった。海軍省「第202号」でした。七釜の町中の石垣でも発見。号なし、海軍省の石です。長崎のHさんに知らせ、案内しました。
西彼町白崎の母衣崎、四天堂公園の「第158号」は、海軍沿革史の地図により8年前位に発見。西彼町や大瀬戸町の地元の方は標石のことが解からず、再発見と別に新しい標石を、元の石の横に2本見つけた。何と申しましょうか? 2,3度電話しました。しまったと思ったでしょう。
海軍省の標石3本。「第138号」、「第202号」、「第〇〇号」(番号は消している)。陸軍省のは、「第147号」、「第152号」、「第151号」、「第158号」、「第75号」の5本発見。いろいろありましたが、「第158号」は、私が8年位前に発見したものです。
佐世保市小佐々方面の海軍省の標石は、「第207号」、「第208号」、「第211号」、「第215号」、「第216号」、「第217号」、「第218号」、「第221号」、「第236号」、「第261号」と、10本になります。
後で亀瀬方面で、陸軍省の石がありますかと尋ねると、ありますと。島へ渡り野島の林の中に、「第140号」がありました。冷水岳の下近くに、「第138号」あり。「第139号」はなし。3回位、山へ行く。陸軍要塞地図にはあり。
見つけているのは、「第130号」、「第131号」、「第135号」(個人所有)、「第136号」(個人所有。3つに割れているため友人宅へ)、「第137号」、「第138号」、次の「第139号」はなし。「第140号」は野島にありとなります。
臼の浦に海軍火薬庫あり。「海軍用地」の石が2本。うち1本は確認せず。用心しょう。