長崎外の幕末・明治期古写真考 目録番号:1192 熊本城(3) ほか
HP「長崎大学附属図書館 幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベース」などに収録している長崎の古写真について、撮影場所などタイトルや説明文に疑問があるものを、現地へ出かけて調査するようにしている。順不同。長崎以外の気付いた作品も取り上げる。
目録番号:1192 熊本城(3)
〔画像解説〕
撮影時期は明治の初期。手前に写っている加藤清正神社の存在で大体の撮影時期が特定できる。明治4年(1871)に創建された社殿は明治7年には京町台に移されている。整理番号12-2、16-34とほとんど同一の写真。
目録番号:6670 熊本城(6)
目録番号: 532 熊本城(1) (同写真 掲載略)
目録番号: 744 熊本城(2) (同写真 掲載略)
■ 確認結果
目録番号:1192「熊本城(3)」と、次の目録番号:6670「熊本城(6)」は、同じ写真と思われる。〔撮影者:富重利平〕とも考えられる。
小沢健志氏編「新版 写真で見る 幕末・明治」世界文化社2000年刊112頁に、「熊本城 富重利平」として掲載されている。同解説は次のとおり。
熊本城 富重利平
九州、熊本城の雄姿。慶長6(1601)年加藤清正の築城。大小の天守閣は明治10(1877)年の西南戦争直前の火災で焼失したが、昭和35(1960)年に復元された。
しかし、これは最後の資料写真どおり、明治天皇の西国・九州巡幸に随行した「内田九一」が撮影した写真だろう。金子隆一氏論文HP”内田九一の「西国・九州巡幸写真」の位置”70頁に、「図33 熊本城 左ニ加藤社」として報告されている。東京都美術博物館蔵。