上黒岩岩陰遺跡 愛媛県上浮穴郡久万高原町
国指定文化財等データベース及び愛媛県の文化財による解説は、次のとおり。
名称: 上黒岩岩陰遺跡
ふりがな: かみくろいわいわかげいせき
種別1: 史跡
指定年月日: 1971.05.27(昭和46.05.27)
指定基準: 一.貝塚、集落跡、古墳その他この類の遺跡
所在都道府県: 愛媛県
所在地(市区町村): 上浮穴郡久万高原町
解説文:
四国の高峰の1つである石槌山の西南麓に源を発する[[面河溪]おもごけい]が、久万川と合流する地点から久万川を約3キロさかのぼった右岸に所在する。岩陰は比高約20メートルの石灰岩の岩脈の先端部にあり、遺跡の中心は岩壁の両北端から西南側面である。 昭和36年から5回にわたる調査の結果、第1層から第9層までに遺物が包含されていた。とくに第4層の繩文時代早期における20体を越える埋葬人骨や第9層の繩文時代創草期における細隆線文土器、有舌尖頭器、削器、礫器、礫石に線刻した岩版等の一括遺物は、この時代の最古の遺物であり貴重な資料である。
なお、岩陰内の遺物包含層を科学的処理により固め、断面の観察ができるような措置がとられ保存に万全を期している。
(愛媛県解説)
遺跡付近は、標高400mほどで、遺跡は東北面に高さ20mの石灰岩の切り立つ断崖を背負う。西南に開いた岩陰遺跡で、昭和36(1961)年に中学1年生によって発見された。本遺跡は14層までの堆積層序を確認し、第4層から第9層までに縄文時代草創期及び早期の遺物が層位的に発見された。
出土品の中で最も貴重と思われるものは、約12,000年前と推定された第9層から出土した8個の長径約5cmの扁平な緑泥片岩川原石で製作した線刻女性像である。これは日本最古の人物像である。また同じく日本最古の土器の一つと考えられる細隆起線文土器、有舌尖頭器、礫器などのほか、大型ニホンザルの下あごの骨も発見されている。第4層からは10体以上の人骨や、2頭の日本犬の埋葬骨も発見された。その他、無文土器、石鏃、骨角器、貝類も多数発見され、最古の縄文文化のようすを知る貴重な遺跡である。