竹の熊の大ケヤキ 南小国町赤馬場
熊本県HPの地域発 ふるさとの自然と文化による説明は、次のとおり。
竹の熊の大ケヤキ(たけのくまのおおけやき)
所在地 阿蘇郡南小国町赤馬場
解説 県下第一級の大ケヤキ
○竹の熊の大ケヤキ
大観望から国道212号を小国町方面に下っていくと、南小国町の役場などが集まる市街地に着きます。ここから、今度は県道40号へ右折して満願寺方面に向かい、約1.5km程進むと赤馬場という集落があります。市街地から家並みが続いているので、通り過ぎないように注意してください。(1枚目写真のとおり、道脇に案内標識があった)
この大ケヤキは、竹の熊の天満宮(菅原神社)の境内の一番左奥に立っています。同じ境内には阿弥陀様を祀る観音堂も建っています。熊本県下でも最大級のこの大ケヤキは、根元の周囲が約15.8m、幹の周囲が約
11.7m、木の高さは約33mあり、樹齢も千年を越すと言われています。地上7mの地点で、幹が分かれますが、そこに空洞があります。今はトタン板でおおってありますが、これは、戦後の台風により当時一番大きかった大枝が折れた跡です。その大枝は、払い下げになったのですが、その時の値段が、30万円と言いますから驚きです。お米一俵が二千数百円の頃の話です。
また、昭和の初め頃、この木を伐採するか保存するかをめぐって氏子の間で争いが起こり裁判にまでなりましたが、結局保存することになり、現在はきちんと整備されています。 この木には、ケヤキの巨木に普通見られるようなコブがなく、幹の表面が平らで、幹にはカズラが巻きついています。
○ケヤキとは
本州、四国、九州から朝鮮半島、中国などの温帯、暖帯の野山に自生するニレ科の落葉高木です。古くは、ツキノキとよばれ、農家では防風林として家の周りに植えられました。木の形がうつくしいので現在でも街路樹、公園樹、庭木などとして植えられています。幹はまっすぐと伸び、途中からわかれた枝が箒(ほうき)のようにのびのびとひろがって、よくめだつ木です。高さはふつう20〜25m。樹皮は灰褐色をしていて、老木になると一部が魚のうろこ状にはげたりします。葉は長丸い形で、ふちにはのこぎりの歯のように鋸歯(きょし)と呼ばれるギザギザがあります。4〜5月にうすい黄緑色の小さい花をひらき、実は秋に褐色に熟します。材質が強く、木目がうつくしいので、建築、家具、船舶、彫刻、楽器などにつかわれます。
○国指定の天然記念物
寿命が長い木なので、天然記念物に指定されている巨木が各地にあります。国指定のものは全国で18件あり、竹の熊の大ケヤキもその一つです。県下でも第一級の大ケヤキで昭和10年6月7日に指定されています。同じ九州では、「妙見の大ケヤキ」(熊本県矢部町)、「下野八幡宮の大ケヤキ」(宮崎県高千穂町)などが有名です。
○天満宮のお祭り
地域の人はこの大ケヤキを近くに祭られている阿弥陀尊、六地蔵、猿田彦大神とともに朝夕あがめています。8月25日には、境内で天満宮と観音様の祭りが行われます。竹の熊の地区の人が、わらを持ち寄ってしめ縄を編み、境内に飾り、神主さんを呼んで1年間の祈願をします。以前は、子どもたちを集めて境内で相撲が行われていましたが、現在では地域の子どもの減少により行われていないようです。
参考文献
『私たちの南小国町』 南小国町教育委員会
『南小国の文化財』 南小国町教育委員会
佐藤弘 『小国郷の史蹟・文化財』 熊本日日新聞情報文化センター 1986