阿弥陀スギ 小国町黒渕
HP「全国巨樹探訪記」による説明は、次のとおり。
道の駅小国から国道387号を約5km西進すると、杉の平トンネル手前に案内板があり、黒渕集落内へ入る。
名称 阿弥陀スギ (あみだすぎ)
名称の典拠 現地の案内板(注1)
樹種 スギ
樹高 36m(注2) 今はずっと低い
目通り幹囲 11.6m(注2)
推定樹齢 1300年(注3)
所在地の地名 熊本県阿蘇郡小国町黒渕
国指定天然記念物(1934年12月28日指定)
注1)1997年2月に熊本県教育委員会が設置
注2)環境庁「日本の巨樹・巨木林 九州・沖縄版」による
注3)上記案内板による
1995年刊行の講談社「日本の天然記念物」に、何の支えもなく、堂々と立っている阿弥陀スギの写真が載っている。写真のスギの根元では、放牧された牛が悠々と草をはみ、梢には緑濃い葉が厚々と繁っている。スギは途中から十数本の大枝に分かれ、それぞれの大枝がまた複数の大枝に分かれて、半球形の大きな樹冠を形作っていた。
その形が、まるで巨大な阿弥陀様(の光背?)のようだというので、阿弥陀杉と名付けられたという。(一説に、樹下に阿弥陀堂があったためとも)。それよりさらに遡ること百年弱の明治35年(1902)。阿弥陀杉が人手に渡り、伐採されそうになった。それを惜しんだ当時の北小国・南小国両村の村民は、浄財を出し合って、この大杉を土地ごと買い戻し、以来、きっと後世に伝えることを誓い合ったという。ここに住む人々は、いわば自然遺産保護の先駆者だったわけだ。
この何にも代え難い大杉が、平成11年(1999)9月24日の台風18号によって、壊滅的な被害を受けてしまった。なんとも残念なことである。現在まで残っているのは、本体と少し離れて、横向きに出ていた大枝のみ。低い位置にあったので、強風を免れたのだろう。幸い、残った枝は元気が良さそうだ。今は、人々の記憶と写真のほか、本来の樹形を伝えるものが無くなってしまった。かつての雄姿の形見として、この枝が長く生き続けてくれることを願う。