式見の不整合 複数の地層が観察できる絶好の地
布袋厚著「長崎石物語」長崎文献社2005年刊、111頁による説明は次のとおり。県・市の天然記念物には指定されていないようである。
「式見の不整合」は、長崎変成岩類の上に長崎火山岩類がのっている境界面として有名である。場所は手熊と式見をむすぶ国道二〇二号線「蝶ヶ崎トンネル」北口のすぐちかくである。海の浸食によって断崖が露出した海岸で、地元では「ブイシャゴ」とよばれるところである。海上には浸食でとりのこされてそそり立つ「トンビ岩」(大村藩の文書『郷村記』にある名称は「立石」)がみえ、式見の景勝地である。バスで行くなら、「式見」で下車し、漁港に出てから南(海にむかって左)に二百五十メートルほど歩き、海岸におりると、ほどなく現地につく。
境界面よりも下は、長崎変成岩類の結晶片岩である。境界面のすぐ上には結晶片岩の破片の層がある。これは、岩盤の岩石がくだけて石ころや砂となり、地面をおおっていたあとであり、境界面が地表に露出して浸食されていた証拠である。このような境界が「不整合」である。破片の層は「基底礫層」とよばれ、これがみつかれば地層の境界が不整合であると判断できる。
基底礫層の上のほうで長崎火山岩類の凝灰角礫岩にうつりかわっている。…