遥拝頭首工 八代市豊原上町
八代平野土地改良区連合(遥拝頭首工)HPによる説明は、次のとおり。JR八代駅前先から新萩原橋を渡って、人吉方面へ国道219号に入る。南九州自動車道の高架下をくぐると、球磨川にこの堰がある。
遥拝頭首工の歴史と役割
遥拝頭首工は、八代平野の農業用水・工業用水の取り入れ口として造られた堰です。歴史は古く、中世名和時代には「杭瀬」と呼ばれ、近世加藤時代のころから「遥拝堰」と呼ばれるようになったようです。杭瀬というのは、杭を川の中に立て並べてしがらみにしたもので、そこから水を引くために掘られた井手が、宮地側の 「太田井手」、高田側の「奈良木井手」、「遥拝井手」などです。この 「杭瀬」を加藤清正が大型の割石や自然石を用いて大石堰に改築したと伝えられています。
名和時代には、堰と用水井手の鎮守として高田側の山麓に宮がまつられ、これがのちの遥拝神社(豊葦原神社)といわれています。また、今でもこの堰を「遥拝堰」または「遥拝の瀬」と呼ぶのは、このほとりに 懐良親王が高田御所に在居の折、吉野の皇居を遥拝した宮が鎮座することに由来しているという説があります。
遥拝堰は、加藤家、細川家、松井家、そして地域住民の努力によって、明治・大正・昭和の時代へと 引き継がれ、昭和23年に農林省管轄の国有財産になりました。
現在の遥拝頭首工は、昭和40年11月に着工され、昭和44年3月に竣工した施設ですが、農業用水を 取水するための「国営八代平野農業水利事業」と工業用水を取水するための「熊本県工業用水道事業」の共同によって施工されました。
計画最大取水量は、農業用水が毎秒19.583立方メートル(6,777ha)、工業用水が毎秒5.555立方メートルですが、現在では、農業用水に毎秒最大16.589立方メートル(5,556ha)、工業用水に毎秒2. 758立方メートルが利用されています。
平成15年からは、上天草・宇城地域の水道水としても毎秒0.282立方メートル(計画給水人口107, 222人)が利用されています。