萱瀬(かやせ)スギ植物群落保護林と大名杉  大村市中岳町  

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萱瀬(かやせ)スギ植物群落保護林と大名杉  大村市中岳町

大村市中岳町にある「萱瀬(かやせ)スギ植物群落保護林」は、九州森林管理局が管理している。黒木渓谷や鹿島へ行く国道444号線の萱瀬ダム手前の右方萱瀬山(標高400m)の国有林内となる。
ダムにかかる手前の久良原公民館前に案内標識があり、急坂を1.8km奥まで車が入る。

車はここで通行止め。すぐ先が保護林で、説明板や「森の巨人たち100選」銘板がある。辺りはスギの巨木が林立して鬱蒼としている。植林の歴史は、大村藩江戸時代に遡る。「大名杉」と命名された木が最も大きく、ここからまだ800mほど上。歩いて20分登る。幹周り4.9m。県下最大のスギ大木である。
Otoji.K氏HP「長崎県の名木」リストの中の説明は次のとおり。

萱瀬(かやぜ)スギ

大村市中岳町にあるスギの森は「萱瀬スギ」として、平成12年に「森の巨人たち百選」に選ばれた。県内では最も古い人工林である。3.73haのスギの森には456本のスギがあり、幹周り4m前後のスギの巨木が点在する。スギの巨木の多さに感激する。樹高47m、樹齢240年になる。その中で最大のスギの巨木は「大名杉」と言い、幹周り4.9m。真直ぐに伸びた姿は雄大。「萱瀬スギ」の入口からさらに20分ほど登った奥にある。
萱瀬スギの周辺には赤い実をつけたアオキの低木やサツマイナモリの花が咲いていた。
訪れたのは1月下旬。まだ雪が残っていた。
久良原公民館から萱瀬スギまでは1.8kmで、徒歩で40分ほどかかる。車でも行け、萱瀬スギ近くに駐車できる。久良原公民館から車で行くなら、民家のくねった細い急な坂道が続き、ドキドキする。

なお、長崎県生物学会編「多良岳の生物」2001年刊57〜59頁に、宮崎正隆氏稿「多良山系の巨樹・巨木」がある。この中に「萱瀬スギ植物群落保護林」を次のとおり記している。
また、長崎森林管理署HPの説明は以下のとおり。

※「萱瀬杉」学術参考保護林 (植物群落保護林)

大村市中岳郷萱瀬山(標高400m)の国有林。約3.73ha中には樹齢400年を越す杉が美林をなしていて、幹周り3.5m以上、樹高40mを越すものが大半を占めている。
ここは狸の尾水源涵養林同様、水確保を目的に大村沖積平野を潤す郡川最上流域の黒木の里(萱瀬)に大村藩が大々的なスギの植林をおこなってきた。
しかし、残念なことに第二次世界大戦時の軍用材としてほとんど伐採されてしまった。そのためいま県内に残る最も古い貴重な人工スギ林「萱瀬杉」は、1993年に植物群落保護林に指定された。
林野庁の「森の巨人たち百選」には、長崎県で唯一ここ「萱瀬杉」(幹周り4.9m、樹高47m)が選ばれている。

萱瀬スギ植物群落保護林( か や せ す ぎ )

植物群落保護林は、我が国又は地域の自然を代表するものとして保護を必要とする植物群落及び歴史的、学術的価値等を有する個体の維持を図り、併せて森林施業・管理技術の発展・学術研究等に資すること目的とするものです。

萱瀬スギ植物群落保護林は、長崎県大村市の北東で、佐賀県境の”経ヶ岳”(1076m)、”多良岳”(996m)及び長崎県諫早市境の”五家原岳”(1057m)に囲まれた西南側の緩傾斜地に位置しています。
林相は、萱瀬スギの老齢林となっており、林齢は240年以上、径級は40〜130㎝の林分で、樹冠は幾分疎開しています。
萱瀬スギの歴史は、江戸時代にまで遡り、大村藩4代藩主大村純長が萱瀬村の藩直轄林にスギ苗7万本を植林したのが始まりだと伝えられています。明治維新後国有林となり、当時30ha程ありましたが、戦中戦後の伐採により殆どのスギが伐採されました。その残りが”萱瀬スギ”として残ったものです。
この内、1本の”萱瀬スギ”(樹高:47m、幹周:490cm、樹齢:240年生)が、平成12年4月に「森の巨人たち100選」として選ばれました。
また、平成14年には、大村市が市制施行60周年を記念して「大名杉」という愛称を命名し、多くの市民に親しまれています。