長崎初の大型獣脚類(肉食恐竜)の実物化石  長崎市三和行政センターで展示

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長崎初の大型獣脚類(肉食恐竜)の実物化石  長崎市三和行政センターで展示

長崎半島西海岸に分布する三ツ瀬層(みつぜそう:白亜紀後期 約8400万年前)から産出した長崎初の大型獣脚類(肉食恐竜)の実物化石が、長崎市三和行政センターで7月12日(金)まで公開展示されている。
福井県立恐竜博物館HP「恐竜博物館の調査研究情報」による記事は、次のとおり。

長崎初の大型獣脚類(肉食恐竜)の化石について
2013年7月8日
福井県立恐竜博物館と長崎市教育員会は、長崎市内の長崎半島西海岸に分布する三ツ瀬層(みつぜそう:白亜紀後期 約8400万年前)から産出した、長崎県では初産出となる獣脚類(肉食恐竜)の化石を報告します。獣脚類の化石は2点の歯の一部であり、共に2011年7月に恐竜博物館の宮田和周主任研究員が発見しました。化石は三ツ瀬層から産出したワニ、カメなどの他の脊椎動物化石と共に、長崎および福井で展示公開されます。

画像1 獣脚類の歯:歯根側の約半分
画像2 獣脚類の歯:歯冠の一部

獣脚類の化石2点のうち1点(図1)では、歯冠の高さ35.4mm、幅26.8mm、厚さ11.2mmであり、完全な歯の歯根側の約半分にあたる(完全であれば約6cmの歯と推定される)。歯の前後には特徴となる鋸歯も保存されている。もう一点(図2)は歯冠の一部であり、高さ34.2mm、幅13.6mmである。いずれも化石の不完全さから、獣脚類の種類を特定することは困難だが、ハドロサウルス科の恐竜(草食恐竜)に続いて、大型の肉食恐竜がかつての長崎半島周辺に生息していたことを示す。国内における肉食性の獣脚類化石は、岩手、福島、群馬、富山、石川、岐阜、福井、和歌山、兵庫、福岡、熊本、鹿児島の各県から報告があり、多くの場合、歯の化石から知られる。長崎の歯の化石(図1)はその中でも大きく、全長約7mを超える大型獣脚類のものと考えられる。

福井県立恐竜博物館と長崎市教育委員会は昨年度より、三ツ瀬層から産出する白亜紀後期の脊椎動物化石の共同研究事業を行っている。本年度から野外での試掘調査も行い、白亜紀の脊椎動物化石のさらなる収集を行う計画がある。昨年度は以前に収集された化石を含む岩石のクリーニング(化石周囲の岩石を取り除く作業)が恐竜博物館で行われた。これら獣脚類の化石以外には、翼竜の骨(第二標本)、ワニの歯、カメ(スッポンのなかま)の甲羅、硬鱗魚の鱗など、新たに54点(総計57標本/2013年3月末時点)の標本が処置された。なかには、噛まれた痕のあるカメの腹甲といった興味深い化石もある。これら資料には鑑定が困難な断片的な骨や、鑑定にはまだ時間を要する化石も多く含まれるが、三ツ瀬層の脊椎動物化石の多様性を示す重要な資料である。今回の獣脚類の歯化石を含む11点の実物化石と複製が下記の予定で長崎市と福井県立恐竜博物館にて一般公開される。

展示公開予定
長崎市三和行政センター:
7月9日㈫〜7月12日㈮ 実物化石を展示
長崎市科学館:
7月14日㈰〜7月28日㈰ 実物化石を展示
7月29日㈪〜10月16日㈬複製を展示
10月17日㈭から実物を常設展示
福井県立恐竜博物館:
7月12日㈮〜7月28日㈰ 複製を特別展(2013年度恐竜博物館特別展「発掘!発見!1億年の時を越えて〜福井県恐竜化石発掘25周年記念〜」)展示
8月1日㈭〜10月14日㈷㈪実物化石を特別展にて展示
10月17日㈭から複製を常設展示