長崎八景の風景 3 笠頭夜雨
江戸時代の長崎名勝図絵の記述によると、「長崎八景」には2種類ある。ひとつは崇福寺住職の唐僧・道本編集版。そしてもうひとつ版画、大和屋版である。
長崎版画の版元は、江戸時代中期以来15名以上を数える。絵師を兼ねた版元は、大和屋の磯野文斎と梅香堂の可敬(かけい)、文錦堂の梅月(ばいげつ)などがいた。なかでも磯野文斎の版画が多い。
今回紹介する「長崎八景」は、長崎版画には珍しい長崎の風景を描いたもの。版画には「文斎堂上梓」あるいは「文彩堂」「大和屋由平板」「文斎發販」とある。(下記サイトから)
長崎Webマガジン”ナガジン”発見!長崎の歩き方 「越中先生と行く 長崎八景の世界〜江戸期の景勝地〜」から、同じ風景を訪ね、現在の写真を大きく写してきた。
越中先生の詳しい解説は、同サイトの次を参照。
http://www.at-nagasaki.jp/nagazine/hakken08031/index.html
長崎八景「3 笠風頭夜雨」の、現代版写真の撮影場所は、伊良林3丁目の風頭公園内「風頭山展望台」からである。
「…(風頭山は)文人墨客は好んで笠頭という字を使っている。…それにしても昔は風頭からこんなふうに海を見渡せたとは…さぞ絶景だったに違いない」と解説している。
大学所蔵、永見徳太郎編集「長崎版画集」による九州大学デジタルアーカイブ「長崎八景」の解説は、次のとおり。
5 笠頭夜雨 出版元 大和屋 年代 天保末〜弘化頃
「夜雨(やう・よさめ)」は夜に降る雨のこと。この絵には薄暗い空からのはげしい雨と笠頭山の大松が描かれている。「唐寺」とあるのは崇福寺のことで、赤い山門が黒く現されている。正面の山は稲佐山である。海には、オランダ船・唐船・和船が碇泊している。 13.0×19.5cm