長崎八景の風景 2 安禅晩鐘
江戸時代の長崎名勝図絵の記述によると、「長崎八景」には2種類ある。ひとつは崇福寺住職の唐僧・道本編集版。そしてもうひとつ版画、大和屋版である。
長崎版画の版元は、江戸時代中期以来15名以上を数える。絵師を兼ねた版元は、大和屋の磯野文斎と梅香堂の可敬(かけい)、文錦堂の梅月(ばいげつ)などがいた。なかでも磯野文斎の版画が多い。
今回紹介する「長崎八景」は、長崎版画には珍しい長崎の風景を描いたもの。版画には「文斎堂上梓」あるいは「文彩堂」「大和屋由平板」「文斎發販」とある。(下記サイトから)
長崎Webマガジン”ナガジン”発見!長崎の歩き方 「越中先生と行く 長崎八景の世界〜江戸期の景勝地〜」から、同じ風景を訪ね、現在の写真を大きく写してきた。
越中先生の詳しい解説は、同サイトの次を参照。
http://www.at-nagasaki.jp/nagazine/hakken08031/index.html
長崎八景「2 安禅晩鐘」の、現代版写真の撮影場所は、上西山町「諏訪神社」である。境内左側から長坂とクスノキの巨木を主に撮影している。
「版画全体に描かれているのは長崎市民の氏神様である諏訪神社で、安禅寺という寺院に関わるものは、わずか左下方に見える本堂と鐘楼が描かれているのみだ」という解説である。
大学所蔵、永見徳太郎編集「長崎版画集」による九州大学デジタルアーカイブ「長崎八景」の解説は、次のとおり。
6 安禅晩鐘 出版元 大和屋 年代 天保末〜弘化頃
「晩鐘」は夕方にならす寺院・教会などの鐘のこと。安禅寺の鐘は左隅に見え、朱から青へと変化している玉園山・諏訪神社が巧みに描き出されている。安禅寺は承応1(1652)年に建てられた天台宗の寺で、明治初年頃に廃寺となった。現在その敷地は長崎公園となっている。
13.0×19.5cm