「幕末・明治期古写真超高精細画像データベース」の改善について
「長崎大学附属図書館 幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベース」の”このサイトについて”をクリックすると、「幕末・明治期古写真超高精細画像データベース」も閲覧できる。
長崎の写真201点、長崎を除く全国の写真300点を登載する。最近、構築されたデータベースか。これまでとシステムが変っている。
「ベストショット」では、日本の面影・長崎の面影、「古地図から検索」では、長崎湾周辺・中島川周辺・長崎居留地付近、「古写真を探す」では、撮影者から探す・撮影年代で探す・撮影地域で探す・条件を指定して探すことができるが、構築が不完全で問題点が多い。メタデータ・データベースの最近の追加作品が入っていない。改善をお願いしたい。
■ 確認結果
「古地図から検索」では、古写真を撮影した地点と向きを、拡大地図に赤丸ポイントで示しているが、実際の作品と合わないのが多い。メタデータ・データベースでの修正が反映されていない。拡大地図へすぐ戻れない。拡大地図は、主な地名や山名をはっきり表示しないとわかりにくい。
「古写真を探す」では、撮影者・撮影年代・撮影地域で検索できるが、検索結果の出方がおかしい。例えば「上野彦馬」は70件あるが、最初の30件のみ。Nextないし2頁以降は全体の撮影者の画面となる。その他の撮影者や撮影者未詳も検索できるようにしてほしい。
撮影地域検索は、地図ではわかりにくく地名を表示してほしい。撮影者・撮影年代・撮影地域検索とも、1件を見た後、前後の作品へすぐ進めない。
1例として、メタデータ・データベースの目録番号:2886「中島川と編笠橋(2)」の作品について見てみよう。超高精細画像データベースでのタイトルと画像解説は次のとおり。
この項は次の記事末尾で指摘済。 https://misakimichi.com/archives/2339
2886 中島川と風景(3)
右岸に料亭、その先の阿弥陀橋袂に電柱、奥の白い塀の大きな木がある屋敷は明治15年(1882)に新築された上野彦馬邸(上野撮影局)、左岸の阿弥陀橋の森は伊良林の水神社で、江戸時代に上水道として敷設された倉田水樋の水源である。その手前家の1階の屋根には「時計工」の看板が見える。目録番号341(整理番号8-15)と比較すると、写真手前、川に作られている「水汲場の枡」が新しくなって、写真が新しい。高麗橋上からの撮影で、電柱が立っていることから明治20年代後半の銭屋川(中島川)の風景である。阿弥陀橋は、伊勢町-八幡町間に、元禄3年(1690)日本人町人「園山善爾」が私費で架けた長さ13.4m、幅4.5mのアーチ石橋である。昭和57年(1982)の長崎大水害で被害を受け、災害復旧の河川改修工事でコンクリート橋に変わった。復元を条件に解体されたが、野積のまま放置されている。早く復元して保存したいものである。
これは、次の「2194 中島川と風景(2)」の解説と同じである。写真は「編笠橋」が正しいので、メタデータ・データベースでは、目録番号:2886「中島川と編笠橋(2)」と修正されたのに、超高精細画像データベースでは、タイトルや画像解説がそのままとなっている。
「幕末・明治期古写真超高精細画像データベース」に登載のある作品で、画像解説に疑問があるものを、以下の記事で取り上げてみたい。これまでの「古写真考」と少し重複する作品もある。