長崎外の古写真考 目録番号:6609 近江 ほか

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長崎外の幕末・明治期古写真考 目録番号:6609 近江 ほか

HP「長崎大学附属図書館 幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベース」などに収録している長崎の古写真について、撮影場所などタイトルや説明文に疑問があるものを、現地へ出かけて調査するようにしている。順不同。長崎以外の気付いた作品も取り上げる。

目録番号:6609 近江

目録番号:1338 比良遠望
〔画像解説〕
“比良山系は琵琶湖西岸にある標高1,000m程度の山群。近江八景「比良の暮雪」として有名。「さざなみや 比良の山風 さ夜ふけて 月影寒し 志賀の唐崎」(源実朝)”

■ 確認結果

目録番号:6609「近江」は、ボードインコレクション(4)のアルバムにある作品。撮影場所が不明だが、まったく同じ写真がデータベースの目録番号:1338「比良遠望」で見つかった。
右上にタイトル、説明、ローマ字表記のキャプションがある。このような作品は目録番号:1322「三条大橋」から目録番号:1343「下鴨神社」まで22点(別に目録番号:3450,3454,3471,3483,3484があったので27点)ある。
京都・奈良・滋賀の社寺など名所を写し、外国人向け絵葉書のような一連の写真である。すべて卓越した構図となっており、出来ばえが素晴しい。撮影者は誰だろうか。

超高精細画像があるとキャプションを読まれ、撮影場所を正しく推定できそうだが、画像解説では源実朝の歌を紹介しているので、「志賀(滋賀)の唐崎」が考えられる。
琵琶湖の西岸、現在の滋賀県大津市唐崎1丁目に「唐崎神社」がある。境内は滋賀県指定史跡。宇志丸宿禰が植えたのに始まるとされる「唐崎の松」がある。境内から琵琶湖を背景に唐崎の松を描いた歌川広重の浮世絵「唐崎の夜雨」で知られており、「近江八景」に選ばれている。

古写真は神社の湖岸側突端「唐崎」を写したものだろう。東を向いているので、「比良遠望」と題しながら写っている山は「湖東三山」と思われる。北を向くと大津市街越しに「比良山」の雄大な姿が眺められると思われる。ここは現在、県営都市公園:湖岸緑地「唐崎苑」となっている。
近江八景の図は、社団法人びわ湖大津観光協会HP「びわ湖大津よりどり観光ガイド」から。唐崎からの遠望は、バス・ギルポイントHP「柳が崎から大宮川河口A(柳が崎から四谷川河口付近)」の参考写真を載せた。