長崎の幕末・明治期古写真考 目録番号:1967 海岸を散歩する外国人 ほか
HP「長崎大学附属図書館 幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベース」などに収録している長崎の古写真について、撮影場所などタイトルや説明文に疑問があるものを、現地へ出かけて調査するようにしている。順不同。
目録番号:1967 海岸を散歩する外国人
〔画像解説〕
整理番号46番台の写真は、中国と日本を撮影した個人アルバムの写真である。この時代の多くの写真は、1枚物やそれをアルバムにしているのに対して、個人アルバムである。アルバムの所有者と思われるが、人物と場所は未詳。
目録番号:1907 船上の外国人男性
目録番号:1946 イギリス人家族(4)
■ 確認結果
個人アルバムの写真からわかった長崎「茂木街道」の状景の最後に、目録番号:1967「海岸を散歩する外国人」を見てもらいたい。前の目録番号:1966「漁村の風景」は、「茂木長崎ホテル」から若菜川河口と茂木の集落を撮影したものだった。
目録番号:1967「海岸を散歩する外国人」も「撮影地域:神戸」とし、「人物と場所は未詳」となっている。しかし、左側に写った建物が「茂木長崎ホテル」の端の方と考えられるのである。
データベースに「茂木長崎ホテル」の適当な古写真が収録されていないため、現地説明板及び裳着神社拝殿に展示している写真を載せる。これによって判断してほしい。時代によってホテルは改造されている。
この項は次の記事を参照。 https://misakimichi.com/archives/1535
さて最後の課題となるのは、個人アルバムが誰の所有なのだったのだろうか。画像解説では、この作品に写されている人物こそ、「アルバムの所有者と思われるが、人物と場所は未詳」と説明している。長崎大学もわかっていないらしく、HP上でもまったくアルバムの資料説明が見当たらない。
ベアトは4回来日したらしい。ベアトの太っている感じは、整理番号46番台の作品で見ると、目録番号:1907「船上の外国人男性」と似ている。外に出てくるのは目録番号:1946「イギリス人家族(4)」の男性2人である。
個人アルバムの一連の作品は興味深い。ベアトの足どりは、横浜開港資料館HPに、企画展「外国人カメラマンが撮った幕末ニッポン−F.ベアト作品展−」から新事実と新収資料の解説がある。 http://www.kaikou.city.yokohama.jp/journal/092/092_02.html
これらの人物と作品について、長崎の撮影場所とともに専門的な研究をお願いしたい。
2月12日に現地を再確認した。写した写真を最後に追加する。