大蔵省か? 旧長崎税関下り松派出所の境界石 長崎市松が枝町
大浦海岸通りの松が枝橋を渡った左に、古い建物の「長崎市べっ甲工芸館」がある。裏手の煉瓦塀の角に小さな標石が欠けてあるのを見つけた。「蔵」と刻んでいる。
「長崎市べっ甲工芸館」は、「旧長崎税関下り松派出所」を約4年間の保存修理工事を経て、平成14年4月オープンした。べっ甲工芸品及び税関資料を展示する。
「旧長崎税関下り松派出所」は、明治31年に建設され、平成2年3月に国の重要文化財に指定された。
建物は小規模ではあるが、明治時代の税関施設の状況をよく伝えており、歴史的な価値だけでなく、海岸通りの景観形成にも重要な役割を担っている。(長崎市の文化財から)
古い建物は旧長崎税関施設だったから、標石の「蔵」は「大蔵省」の意味で、国有地だった境界標柱と思われる。そうして見ると欠けた上の字は、「大」に確かに見える。
明治時代の歴史を刻んだ貴重な標石であろう。長崎税関やさるくは、この標石をもっと大切にしてよいのではなかろうか。周囲で他には見つからなかった。
なお、南山手「長崎全日空ホテルグラバーヒル」(前東急ホテル)左スロープ入口の左側、民間駐車場の中に古い石柱型の丸い突起がある「水準点」がある。これまでは、ジュース自動販売機の裏となり、忘れさられていた。
どじょう会「長崎の碑(いしぶみ) 第二集」平成6年によると、(正面)水準點、寸法27×27×50cm。埋設され、番号は「五三九」までは読み取れる。
明治34年測図国土地理院旧版地図は、この位置に水準点はない。設置年代は調べていないが、現行地図では「□3.0」mときちんと表示され、まだ現役である。