長崎の古写真考 目録番号:4878 ドンの山(から)見た大浦居留地・出島

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長崎の幕末・明治期古写真考 目録番号:4878 ドンの山(から)見た大浦居留地・出島

HP「長崎大学附属図書館 幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベース」などに収録している長崎の古写真について、撮影場所などタイトルや説明文に疑問があるものを、現地へ出かけて調査するようにしている。順不同。

目録番号:4878 ドンの山(から)見た大浦居留地・出島

■ 確認結果

目録番号:4878「ドンの山(「から」の字抜け)見た大浦居留地・出島」と、まったく同じ古写真が、長崎市教育委員会編「長崎古写真集 居留地」平成7年刊の42頁に掲載されている。
同137頁による「図版説明」は次のとおり。

25 星取山から長崎港を見下ろす          長崎大学附属図書館所蔵
星取山の山上付近から長崎港を見下ろしたもので、手前に大浦、東山手の居留地、右手に出島と旧市街地、港の向こうには大きく広がった浦上川の河口部と対岸・淵村の集落が望まれる。出島にはその左端に慶応3年(1867)に造成された馬廻しの突出がみえるが、明治2年2月に築町間に架設された出島新橋がないので、明治元年頃の撮影と推定される。東山手の丘上には旗竿を立てたイギリス領事館の2階建て洋館の背面がみえている。

「ドンの山」からの景色は次を参照。 https://misakimichi.com/archives/1512
この古写真は、「長崎古写真集 居留地」の図版説明どおり、「ドンの山」からではなく、「星取山」山頂から撮影されたものであろう。「星取山」山頂は、現在、NTT統制中継所の敷地となり周りの木立も高く、山頂から展望を確認できない。近くで展望がきくのは山頂の北側手前、「長崎霊園」と最近建設工事中の「港ヶ丘パーク墓苑」へ下る道のところ。
大浦川河口が左上に上がり、左奥の稲佐山尾根と岩屋山の稜線の重なりを確認すると、この古写真は「星取山」山頂から撮影されたものに間違いないだろう。

同じ古写真が、長崎市東山手町「古写真・埋蔵資料館」に展示され、タイトルが「鍋冠山から見た大浦居留地・出島」となっていたようだ。
「ドンの山」か、「鍋冠山」か、「星取山」か、似たような風景が広がり、混同が出てくる。
誤った指摘があって撮影場所を変更されたかも知れないが、変更するにしても長崎大学側が現地へ実際に出向き、正しく確認してから変更すべきではないだろうか。変更の際も、展示資料館へ連絡を確実にしてほしい。

後ろの写真は参考のため、両方の墓地上部から現在の写真を写した。星取山山頂からに対してまだ高度感が足りないし、山の稜線の重なりは高度が低いため合わない。