女人堂跡と磨崖仏  雲仙市千々石町庚

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女人堂跡と磨崖仏  雲仙市千々石町庚

昔の温泉山参詣道、千々石登山道に建てられた女人堂跡は、雲仙市千々石町木場にある。国道57号線木場交差点から左へ別所ダムに登る県道へ入る。しばらくすると岳集落とやまめの里への分岐があり、これに入ったらすぐ磨崖仏、その先に女人堂跡入口の史跡案内板がある。

磨崖仏は島原半島では珍しいとあり、見に行った。千々石町「千々石町郷土誌」平成10年刊161〜162頁の説明は次のとおり。

温 泉 山 信 仰

…温泉山は、高野山や吉野大峯山と同じように名高い霊場であり、それは女人禁制の山であった。女性の参詣者は登山できなかったのである。そこで千々石木場に女人堂という御堂を建てて、霊場へ参詣できない女性が参籠した。いつの頃からかはっきり分からないが、ここでは昼夜読経の声が絶えなかったという。
今では、その女人堂は田畑となり、跡には石垣と板碑、そして少し離れて磨崖仏が残るだけである。
板碑のひとつは高さ一・二メートル。自然石の上部に大日如来の種子(梵字)が刻まれ、その下に妙圓と道音の名前が薬研彫りされている。碑には年紀銘はないが、鎌倉時代の建立であろう。この二人は温泉山衆徒修験者であったろう。
また高さ一メートル、幅八四センチの無名の三角埵や、高さ一・一メートル、幅七三センチの角柱板碑がある。この碑には輪中に五智如来の種子が刻まれていて、温泉四面宮を表わしている。(「修験道とキリシタン」)
磨崖仏は島原半島では珍しい。巨石に高さ七〇センチの像を彫り込んでいる。合掌しているそのお姿から見て比丘尼像であろう。年紀銘がないのでいつ奉納したものか分からないが、多くの女性が参籠していた時代のものであろう。温泉山を背に鎮座するこの素朴な比丘尼像に、それぞれどんな願い事をお祈りしたろうか。その願いを叶えてくださったであろう比丘尼さんは、今も静かに座っていらっしゃる。…