塩 川  本部町崎本部 ( 沖縄県 )

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塩 川  本部町崎本部

現地説明板は、次のとおり。名護市から国道449号により本部町へ向かう。本部町に入ってすぐが崎本部塩川集落である。塩川バス停手前に、国指定天然記念物「塩川」の説明板があった。

国指定天然記念物  塩 川   昭和47年5月15日
この塩川は海岸線より150m余の陸地内部にあって海面上1.29m〜1.42mの岩場から常時海水を湧水している世界でも珍しい川で昭和47年5月15日、国の天然記念物に指定された。
この塩川の湧出機構については岩塩層説、サイフォン説、地下空洞説などいろいろあるが、確定的なものは未だない。
これまでの調査によれば
①潮位と水位(湧水量)は比例する。
②湧出量と塩水濃度は逆比例の関係にある。
③海水と陸水が混合したもので岩塩層説は全く否定される。
海水の流れる川は世界でもここ「塩川」とプエルトリコの二カ所しかなく貴重な川である。
この地域において許可なく現状を変更し、または保存に影響を及ぼす行為をすることは法律で禁じられています。      本部町教育委員会

ウィキペディアフリー百科事典による説明は、次のとおり。

塩 川 (沖縄県)
塩川(しおかわ)は、沖縄県国頭郡本部町字崎本部塩川原にある全長約300メートル、川幅4メートルほどの小規模な河川であるが、日本国内ではで唯一塩分濃度の高い河川として、沖縄返還当日の1972年(昭和47年)5月15日に、国の天然記念物に指定された[1]。

概要
沖縄本島北部、本部半島の地質には石灰岩が多く含まれており、雨水が石灰岩の亀裂から地下に浸透し、海岸近くで湧水となっている場所が多くあり、地下には多数の鍾乳洞が存在すると推察されている。塩川も鍾乳洞からの湧水を水源とするもので、湧水量は毎秒100リットルを超える本部半島では第一級の湧水であるにもかかわらず塩分を含むことから、古くから「本部の七不思議」のひとつとされてきた[2]。石灰岩の洞口から勢い良く湧き出す水は、そのまま僅か数百メートルの小川となって東シナ海へ注いでいる。

世界には有名な塩湖である死海や、砂漠地帯には岩塩が地表に表れている場所もあるが、これらは水中の塩分が水の蒸発によって濃縮されたもので、気温の高い乾燥気候という特殊な条件下のもとにできたものである。日本のように適度な降水量がある湿潤な気候条件下では地上に塩分が湧出するようなことは通常ではありえない[3]。

塩水の湧出構造
塩川の水は海水が約4.5倍の淡水に薄められたもので、カルシウム分だけが海水における含有量よりも際立って多く含まれており、カルスト由来の石灰分が溶けていることを示している[2]。
陸域からの強い淡水の流れが石灰洞系をつくる流路を海水準下にまで下がって流下するため、海水と地下水(淡水)が混じり合い、その後に地表に湧出すると推定されている[2]が確定的なものは未だにない。

これまでの調査により明らかになっているのは、塩川の湧出量は那覇港の潮位と連動しており、満潮時に湧水量が増加し干潮時に湧水量は減少する。また、湧水量と塩分濃度は反比例の関係にあり、水量が多いと塩分濃度は低くなり水量が少ないと塩分濃度は高くなる。加えて降水量も塩分濃度に影響を与え、24時間降水量が200ミリを超えるような大雨が降ると、約1日遅れて湧水量が急激に増加し塩分濃度は低下する。これは海水と混合する塩川湧水の淡水の供給源が、降雨の影響を受ける鍾乳洞の水を主体としていることを示している[3]。

生物的自然
希少種の海藻が生息しているとして、日本の重要湿地500に選定された[4]。特に危急種に指定されているシオカワモッカは、日本国内では唯一塩川でのみ生息しているが、大雨による赤土流入の影響で、生育環境が悪化している。また近年、塩川周辺を通る国道449号の道路拡張整備により、日当たりが良くなり、アオノリやアオサ等の他の海藻が繁殖し、日陰を好むシオカワモッカの生育を妨げている[5][6]。

参考文献
・加藤陸奥雄他編 『日本の天然記念物』、講談社、1995年3月20日 第1刷 p.918、pp.920-921 ISBN 4-06-180589-4