高橋輝吉氏稿「鍬の定年は? 鍬と柄の語り」
佐世保市の高橋輝吉氏からの寄稿。「鍬の定年は?」と「鍬と柄の語り」。長年、戦時中の要塞区域標や軍港境域標などの研究をされている。彼の標石探しにだいぶん活躍しただろう鍬の話。次のメモがあった。
”写真右は、全部「焼入鋼」。打物軽い。鍬を使用してみました。先が軽いので力が入らず、唐鍬にならずでした。まさか鍬に定年とは、思ってもみなかったです。 高橋 ”
鍬の定年は?
「鐡」鉄が鍬になってから何百年。此の鍬(唐鍬)を見てください。定年を過ぎてます。どんな所で、どんな働きをしていたのかなー。
柄は友、相棒でした。長い長い年月だが。柄の方は、鍬に聞かねば、語るかなー。使う人、柄、鍬と三拍子がないと、永持ちしませんね。硬いときは、火花で知らせ、柄に伝える。一休みします。此のような事をくり返し。
一生を終えるのかなー。いやいや、まだまだです。床の間が有りますぞ。先が軽くなって、唐鍬にならず(定年)。
鍬と柄の語り
鉄が鍬になってから何百年。此の鍬(唐鍬)を見てください。定年を過ぎてますよ。
柄さん、大丈夫か。いや私の方は、四代目です。
あなたは、いやもうすぐ終わりかなー。
危ないときは、火花を出して、柄に伝えたなー
一寸休みたい。
良く焼きが入ってます。刃物のように。柵(しがらみ)が外れたら、互いに用をなさず、仲好く付き合って何十年。柄は変るけど、鍬は変らず。
定年が来た。鍛冶屋さんによろしく。 唐鍬より。