権現洞穴 南九州市川辺町上山田君野
鹿児島県教育委員会HPの「鹿児島県の文化財」による説明は、次のとおり。
場所がわかりにくいが、「塘之池公園」前の市道を直進して行くと、君野集落内に山道入口案内板がある。植林地へ入って「君野洞穴へあと170m」標識先の分岐はまっすぐ進む。鳥居があり、この先が権現洞穴である。市道はさらに進むと、県道275号に出る。
権現洞穴
【所在地】南九州市川辺町上山田君野
【種 別】県指定天然記念物
【指定年月日】昭和 29 年5月 24 日
権現洞穴は,緩やかな丘陵地の権現谷と呼ばれる小規模な谷にあり,入口付近は溶結凝灰岩の岩塊によって支えられている。付近一帯の山地をつくる岩石は,四万十累層群と呼ばれる中生代白亜紀の砂岩・頁岩層である。鹿児島(錦江)湾入口にある阿多カルデラから,約 10 万年前に噴出した阿多火砕流堆積物が,山地の裾野を取り囲むように分布する。阿多火砕流堆積物は全体に赤紫色を帯びている。高熱のため軽石や火山灰がとけ,レンズ状に引きのばされた黒曜石の目立つ岩石になっている。
入口は広さ2 m,高さ 1.3m の長方形をしており,全長 41.5m の水平横穴である。洞奥は落盤で埋めつくされており,以前はより長かった可能性がある。洞穴を入るとすぐ大広間となり,その先は自由に歩ける程度の大きさとなっている。
雨水が溶結凝灰岩の割れ目を伝わって内部にしみ込み,それらが集まって,基盤をなす四万十累層群との境界を流れ,柔らかい溶結凝灰岩を底から浸食して小さな穴を形成し,最終的にはそれが拡大して洞窟となったものである。現在も地下水が内部を細々と流れている。洞穴内部の溶結凝灰岩の表面は,地下水の作用により円磨されたようになっている。
縄文時代には人間の生活の場となっており,洞穴入口付近は拡幅されたように左右に大きく広がっている。