長崎外の幕末・明治期古写真考 目録番号:1770 神戸港全景(1) ほか
HP「長崎大学附属図書館 幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベース」などに収録している長崎の古写真について、撮影場所などタイトルや説明文に疑問があるものを、現地へ出かけて調査するようにしている。順不同。長崎以外の気付いた作品も取り上げる。
目録番号:1770 神戸港全景(1)
[画像解説]
諏訪山からみた神戸全景である。左中央の六角屋根の建物は明治15年に建設された、県議会議事堂である。明治中期の写真である。
[画像解説 超高精細画像]
写真を縦(南北)に走る道路は、諏訪神社の参道に至るので諏訪筋と呼ばれていた。諏訪筋の右手(西側)には、庭園を造成中の小寺泰次郎(こでらやすじろう)の屋敷(現在の相楽園[そうらくえん])があり、その向こうの何棟かの大きな建物は、明治10年(1877)に校名を改称してここに校舎を新築した神戸師範学校。諏訪筋左側の畑の南側一画は、現在は兵庫県公社館、県庁の第2・第3号館があるあたりで、東西の道路に面した左右対称の建物は、明治11年に新設された附属小学校の校舎であろう。その向こうの白く着色された建物は、明治20年(1887)に落成した兵庫県警察本部庁舎。その南側に兵庫県庁舎がある。その向こうの南北に2棟対称に建つ建物群は、同17年(1884)に竣工した神戸小学校の校舎である。左手には八角形の県会議事堂(明治15年[1882]完成)が見える。この地域は、現在も兵庫県行政の中枢部にあたる。明治中期の撮影であろう。
目録番号:2823 神戸市街の遠景(2)
[画像解説]
諏訪山から神戸港を望む。明治中期。彩色は施されていないが目録番号4480と同じ写真。中央の、東西の道路に面した左右対称の建物は、明治11年新設の (神戸師範学校) 附属小学校の校舎、その向こうには、明治20年 (1887) に落成した兵庫県警察本部庁舎や兵庫県庁舎がある。南北の道路を隔てて、附属小学校の右手には師範学校。
目録番号:4480 神戸港全景(2)
[画像解説]
諏訪山から神戸港を望む。明治中期。現中央区の風景。彩色が施してあるが、目録番号2823と同じ写真。左寄りに八角形の県会議事堂 (明治15年(1882)完成) 、その向こう (南) に外国航路の船舶を繋留する鉄桟橋 (明治17年竣工) が見える。南北の道路の右手に、庭園を造成中の小寺邸 (現在の相楽園(そうらくえん)) 。
■ 確認結果
目録番号:1770「神戸港全景(1)」など3作品は、同じ写真。神戸港の船舶位置や神戸市街の建物などが同じ作品が、「写真の中の明治・大正 −国立国会図書館所蔵写真帳からー」に掲載されている。同データは次のとおり。
したがって撮影年代は、「明治33年頃」となろう。
神戸港 交通
掲載資料 地理写真帖 内国之部 第2帙 刊行年 明33.6 請求記号 YDM202552
住所表記(明治期) 神戸市 住所表記(現在) 神戸市