真玉のおべん柿 豊後高田市黒土
「天念寺」と豊後高田市立「鬼会の里 歴史資料館」先の、長岩屋川沿い県道543号をしばらく進む。「黒土・真玉方面」の案内板があり左折する。山越えして下って行くと、車道左側に「おぺん柿」の説明板がある。この車道は下ると、県道654号へ出る。
歩道フェンス下のやや広い草地に柿の古木が2本見える。元祖の指定木は、奥の方の木。根元に倒れた標柱があった。今年、実がなったか確認できない。手前の木には、実が残っていた。
大分県HP「豊の国の名樹」による説明は、次のとおり。おべん柿のたわわな実の写真は、説明板から写した。
特別保護樹木 4.真玉のおべん柿
樹種名 : カ キ
樹 齢 : 230年
樹 高 : 16m
幹 周 : 1.7m
所在地 : 真玉町大字黒土上前田
所有者 : 富山寿満
来 歴
真玉町大字黒土、所有者富山寿満家の旧屋敷跡に植えられている名木。県指定特別保護樹木。
おべん柿の由来については、西高国語サークル編「仏の里の民話を訪ねて」第55話、河野繁文作の民話がある。それによると、昔みすぼらしい旅の修行僧が水を求めて施しを乞うたが、誰も見向きもしなかったとき、おべんという婆さんが水を与えた。僧はお礼に柿の実3個を渡した。その柿の種が芽生えて成長したのが、この「おべん柿」の元祖木になったのだと伝えられている。
カキは、日本・中国・韓国及び北米の原産で、わが国で品種改良されて、日本を代表する果樹となった。県内に分布する渋柿系統には、川底(下毛郡と玖珠郡の一部)・ジージョ(前津江村)・田夫時(朝地町)・甚吉(朝地町、玖珠郡、大分郡)・祇園坊(安心院町)とおべん柿が代表的なものとされる。
県内に現存する古木では、庄内町阿蘇野の「えぶくろ柿」(推定樹齢200年)が知られているが、おべん柿はこれと同年代か、それより古く、幹周り、樹高ともに大きい。
おべん柿の元祖木は、2本並んで立っているが、指定木は入り口からみて奥の方である。大きさ、樹型、活力に差はない。秋から冬にかけて枝もたわわに実をつけている姿は、近所の名所となっている。