長崎外の幕末・明治期古写真考 目録番号: 606 寺の境内(1)
HP「長崎大学附属図書館 幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベース」などに収録している長崎の古写真について、撮影場所などタイトルや説明文に疑問があるものを、現地へ出かけて調査するようにしている。順不同。長崎以外の気付いた作品も取り上げる。
目録番号: 606 寺の境内(1)
〔画像解説〕
未詳の寺の境内である。二層の立派な蔵の構えからみて東京芝の増上寺の寺の一部か。左隅には大灯篭の端がみえる。水盤社の構えも大きく、井戸の横の銅製と思われる飾り水盤も大きい。木の鳥はご愛敬である。
■ 確認結果
目録番号: 606「寺の境内(1)」は、東京芝の増上寺ではないようである。二層の立派な付属建物の構えから調べると、浅草の「東本願寺」が考えられる。
平凡社「大日本全国名所一覧 イタリア公使秘蔵の明治写真帖」2004年11月 初版第二刷発行の159頁に掲載されている。山門から入って、本堂の右側手前に写っている二層の白い建物が造りが似ている。
寺の境内図や写真がなく、位置関係ではっきりしたことを言えないが、本堂前から振り返って左側の飾り水盤の方を撮影すると、二層の建物がこのような角度で写るのではないか。現在「浄華堂」となっている建物と思われる。
土木学会図書館|戦前絵葉書ライブラリ 10.風水害 明治43年8月「1.浅草東本願寺前の浸水」に、二層建物は大きく写っているから参照。
http://library.jsce.or.jp/Image_DB/card/10_image_thum.html
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』による寺の説明は次のとおり。現在の本堂写真は、須藤石材株式会社HPから。
東本願寺(台東区)
東本願寺(ひがしほんがんじ)は、東京都台東区西浅草一丁目にある浄土真宗の寺院である。正式名称は浄土真宗東本願寺派本山東本願寺。真宗大谷派から独立し結成された浄土真宗東本願寺派の本山である。境内は4250坪。本尊は阿弥陀如来。住職は、浄土真宗東本願寺派第26世法主の大谷光見(聞如)。…
1923年(大正12年)には、関東大震災により本堂等を焼失。現在の本堂は、1939年(昭和14年)に再建されたものである。