岳カトリック教会 長崎市福田本町
長崎の教会群が世界遺産に登録されるよう、今、全県的な取り組みが進められている。私の心象の中に長崎市街を少し遠く離れた、ある古い教会の姿が浮かびあがる。孤高な聖堂。
もう30年も前になるだろう。小雪の降る日、岩屋山へ登り小江原から山の稜線を縦走した。稲佐山へは途中から東に尾根を取るが、まっすぐな道が福田方面へ続いていた。ゴルフ場の端に出合い、あまりに広い芝生の上の雪を踏みしめたく、中に入って遠慮しながら芝の端を歩いた。
長崎の外海と島々の眺望がよく、雲上の世界だった。ここは昔の合戦場という。やがてゴルフ場のレストハウスに着き、そこを出た途端、この聖堂に出会った。今、その姿ははっきり思い出せない。質素に小さくまとまっていた。長い苦難の歴史を感じさせ、古く美しい教会だったように思う。
先日、小江からの帰りにここへ寄った。福田との峠となるゴルフ場入口バス停から1.2km。急坂をバイクで上がった。福田本町岳部落。標高は200mほど。しかし、もう昔の聖堂の姿はなかった。昭和45年に建て替えられていた。
HP「長崎の教会」による岳教会の説明は、次のとおり。
沿 革
明治後期、外海地方(出津)から移住した信徒たちは、神ノ島(木鉢)教会に属していたが、昭和31年(1956)飽の浦教会の巡回教会となる。
現在の聖堂は、昭和45年(1970)建てられたもの。
特 色
遠く長崎半島、神ノ島を見下ろす高台にある。近くにゴルフ場(長崎で最古)があり、人の出入りが結構あるが、近くに教会があるとは殆ど知られていない。こぢんまりとした連帯心の強い教会である。殆どの家庭は、長崎の職場(とくに三菱)に通勤している。過疎化の波に押されている。