夏井海岸の火砕流堆積物 志布志市志布志町夏井
鹿児島県教育委員会HPの「鹿児島県の文化財」による説明は、次のとおり。
夏井海岸の火砕流堆積物
【所 在 地】志布志市志布志町夏井字前田、字赤丸、字三ツ堀
【種 別】国指定天然記念物(地質)
【指定年月日】昭和24年6月8日
鹿児島県の地表の半分以上は、シラスとよばれる火砕流堆積物に覆われた台地からなり、鹿児島の風土を語る上で欠かせない要素となっている。鹿児島県志布志市夏井海岸沿いの崖には、このシラス台地を構成する入戸火砕流が典型的に分布するとともに、入戸火砕流の堆積以前に堆積していた日南層群、阿多鳥浜火砕流、夏井層、阿多火砕流などシラス台地の形成の歴史を辿る地層がそろっている。
なかでも入戸火砕流は、今から2.2〜2.5万年前、現在の鹿児島湾北部の姶良カルデラから噴出した火砕流で、南九州一帯に分布しており、火山国日本でも有数の巨大カルデラ噴火の堆積物である。同時期に噴出した火山灰はAT火山灰として知られ、遠く北海道でも確認されている。この噴火の際の噴出物総量は450立方kmに達し、平成2年から7年にかけて噴出した雲仙普賢岳の0.25立方kmをはるかにしのぐ。
志布志市夏井の海岸には、この入戸火砕流堆積物が典型的に露出する。歴史的にも石材として利用されるなど、南九州の歴史を辿る上で欠かせない火砕流堆積物として極めて重要である。