長崎外の古写真考 写真の幕あけ 106 団扇を持つ女

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

長崎外の幕末・明治期古写真考 写真の幕あけ 106 団扇を持つ女

HP「長崎大学附属図書館 幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベース」などに収録している長崎の古写真について、撮影場所などタイトルや説明文に疑問があるものを、現地へ出かけて調査するようにしている。順不同。長崎以外の気付いた作品も取り上げる。

日本写真全集 1 写真の幕あけ
92頁  106 団扇を持つ女  撮影者不詳 明治中期 鶏卵紙に着色 四切
〔画像解説〕
浴衣の柄、色調からその着こなしのポーズ、笑顔のつくり方など、いかにも写真馴れしていることがわかる。モデルのポーズは現代にも通用するほど大胆である。背景が白くとんでいるのは、モデルをきわだたせるため印画づくりの段階で処理したものと思われ、洒落た画像をつくりだしている。

目録番号:4221 笑う女性
〔画像解説〕
両腕を首の後ろで組んで、くつろいだポーズをとる丸髷の女性で、黒繻子(くろしゅす)の襟をつけた大柄な縦縞の普段着を着ている。ただ綸子(りんす)文様の帯は不釣合である。

目録番号:5604 笑う日傘の女性  (掲載略)

■ 確認結果

「日本写真全集 1 写真の幕あけ」小学館昭和60年発行の92頁にある「106 団扇を持つ女」の名前は、当時の大アイドル「笑子(えみこ)ちゃん」。みなさん、顔をよく覚えてね。
目録番号:4221「笑う女性」と、目録番号:5604「笑う日傘の女性」のモデルと同一人である。
この項は、本ブログ次を参照。 https://misakimichi.com/archives/2790

笑う写真を日本人に根づかせることに寄与した最大の功労者。いつまでも名無し有名人では困るからと、著者石黒氏が勝手に、「笑子(えみこ)ちゃん」と命名。次の資料がある。
石黒敬章氏著「幕末・明治のおもしろ写真」平凡社2004年初版第4刷16,21頁の女性とそのポーズ。目録番号の写真とほとんど似ている。同解説は次のとおり。

笑う写真のルーツを探る
〔写真13〜23〕絵はがきになった「笑子ちゃん」。この女性の笑って絵はがきは40〜50種ありそうだ。コロタイプ印刷、手彩色。発行は明治38〜45年頃だが、撮影は明治25〜35年であろう。明治35年発行の横浜写真のアルバムに同じ写真が含まれているので、明治35年以前であることは確実。

A.ファサリは、明治23年(1890)イタリアに帰国した。写真館は共同出資者や日本人写真家の手で経営が続けられたが、著者がこのA.ファサリ?の作品に、本文でもふれられていないのは、何かあるのだろうか。
年表風に整理した18頁に、○明治20〜35年 横浜写真に笑う「笑子ちゃん」登場。とは記している。