八釜の甌穴群 愛媛県上浮穴郡久万高原町
国指定文化財等データベース及び愛媛県の文化財による解説は、次のとおり。
名称: 八釜の甌穴群
ふりがな: やかまのおうけつぐん
種別1: 特別天然記念物
指定年月日: 1934.05.01(昭和9.05.01)
特別指定年月日: 1952.03.29(昭和27.03.29)
指定基準: (九)風化及び侵蝕に関する現象
所在都道府県: 愛媛県
所在地(市区町村): 上浮穴郡久万高原町
解説文:
面河川ノ支流黒川ノ河床ヲナセル堅硬ナルフリンド質角岩ノ上ニ大小三十餘個ノ甌穴ヲ生シタルモノナリ甌穴群ハ大凡四群ニ分ツヘク第一群ハ川ノ左岸ニ沿フテ八個一列ヲナシ深キ溝ニヨリテ相連續シ各穴間ニ小瀑ヲ懸ク甌穴ハ其ノ瀑壷ニ當レリ是レ八釜ノ名ノ起リシ所以ナリ第二群河床ノ中央ニアリテ五個相連ナリ第三群ハ其ノ右ニアリテ七個相連ナリ第四群ハ最モ右岸ニ近ク三個相連ナル其ノ他孤立セル數個ノ甌穴アリ甌穴ノ最モ大ナルモノハ横徑九乃至十二メートル深サ約十二メートルナリカク多數ノ甌穴ガ相密接シテ一群ヲナセルハ極メテ稀ニ見ル所ナリ
面河川の支流黒川の河床をなす堅硬なるフリント貭角岩の上に大小三十余個の甌穴を生じたるものであり甌穴群は大小四群に分れ第一群は八個一列をなすため八釜の名がある。 甌穴群の代表的のものである。
(愛媛県解説)
落出から仁淀川の支流黒川を約6kmさかのぼった地点に八釜の甌穴群がある。国道からV字谷の斜面に沿って、遊歩道を下ると谷底に達する。
河床の堅いフリント質角岩(チャート)が、渦流によってうがたれてできた甌穴で、川幅25m、長さ65mの間に30数個形成されている。このような大規模な甌穴は地質学上全国的に珍しく、貴重な資料である。
黒川の水位の変化に伴う流路変更の結果、5群の甌穴群が存在しており、そのうちの1群が川の左岸に沿って8個一列をなしている。「八釜」の名はこれから来たものともいわれている。
流域一帯は、通称柳谷キャ二オンと呼ばれ、大野ヶ原などとともに四国カルスト県立自然公園の一部をなしている。