長崎外の幕末・明治期古写真考 目録番号:1135 大宮からの富士山(3)
HP「長崎大学附属図書館 幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベース」などに収録している長崎の古写真について、撮影場所などタイトルや説明文に疑問があるものを、現地へ出かけて調査するようにしている。順不同。長崎以外の気付いた作品も取り上げる。
目録番号:1135 大宮からの富士山(3)
〔画像解説〕
現静岡県富士宮市に属する大宮から望む富士山。写真中央に流れるのは、富士川水系潤井川か。左端には村民の姿も見える。大宮町は、安永年間から東海道吉原宿の臨時助郷を勤めたこともあった。
■ 確認結果
目録番号:1135「大宮からの富士山(3)」は、富士宮市大宮ではなく、富士市伝法から望んだ富士山ではないだろうか。
HP「古絵葉書に見る東海の富士」に、同じような風景の絵葉書「富士眺望 吉原郊外之富士」が掲載されている。同解説は次のとおり。
「吉原郊外の富士」となっているが、富士山の剣が峰の位置や谷筋から判断すると、旧鷹岡町に近い旧吉原町域からの撮影とおもわれる。また、富士山に対する川の角度、川幅などもあわせ考えると、伝法橋付近の撮影のようだ。
川には堰をつくり、そこから水田に水を引き込んだ。稲刈後の畑には、早速、畝が見えるので、この畑では二毛作を行っていたようだ。二件並んだ農家の右手では、農夫が二人、なにやら立ち話をしている。左手の川沿いの道には轍(わだち)をつけながら馬車がゆっくり上っていく。