長崎外の幕末・明治期古写真考 目録番号:2821 布引山入口(3)
HP「長崎大学附属図書館 幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベース」などに収録している長崎の古写真について、撮影場所などタイトルや説明文に疑問があるものを、現地へ出かけて調査するようにしている。順不同。長崎以外の気付いた作品も取り上げる。
目録番号:2821 布引山入口(3)
〔画像解説〕
明治中期の、布引の滝登り口。突き当たりの坂を登ると、雌滝や雄滝に至る。現在の、山陽新幹線の新神戸駅から新神戸オリエンタルホテルあたりの風景。撮影は、横浜の写真師日下部金兵衛。左角に「1207」の文字が見えるが、同じ原版の写真には、もともと「1207. NUNOBIKI YAMA KOBE. 」とあった。目録番号4893と同じ写真。
目録番号:4893 布引山入口(4)
〔画像解説〕
明治中期の、布引の滝登り口。右手向こうの山は砂山 (いさごやま) で、左手前の山との間を生田川が流れている。突き当たりの坂を登って左に曲がって少し行くと、雌滝がある。彩色は異なるが、目録番号2821と同じ写真。名所風景の中に、このあたりで暮らす人々の姿を記念撮影のように収めたのは、日下部金兵衛らしい演出。
■ 確認結果
目録番号:2821「布引山入口(3)」は同画像解説や、次の目録番号:4893「布引山入口(4)」にあるとおり、〔撮影者:日下部金兵衛〕として良いのではないか。
小沢健志氏編「新版 写真で見る 幕末・明治」世界文化社2000年刊102頁に、「布引山
1880年代 金幣アルバム」として掲載されている。同解説は次のとおり。
布引山 1880年代 金幣アルバム
布引の滝の入口。坂道の奥に滝がある。西国街道の近くで、古くから貴族、文人の来訪で賑わった。