長崎外の古写真考 目録番号:1149 神社(3) ほか

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長崎外の幕末・明治期古写真考 目録番号:1149 神社(3) ほか

HP「長崎大学附属図書館 幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベース」などに収録している長崎の古写真について、撮影場所などタイトルや説明文に疑問があるものを、現地へ出かけて調査するようにしている。順不同。長崎以外の気付いた作品も取り上げる。

目録番号:1149 神社(3)
〔画像解説〕
神社の社殿配置を全体的に捉えた写真であるが、神社の特定は未詳である。

目録番号:1540 生田神社(3)
〔画像解説〕
湊川神社の写真である。湊川(みなとがわ)神社はJR神戸駅の北に位置し、建武3年(延元元年[1336])5月湊川の戦で足利軍に敗れ、この地で自刃した楠木正成(くすのきまさしげ)を祀る。神社としての歴史は、慶応4年(1868)4月に政府が社壇造営を決定したことに始まる。明治5年(1872)4月に社号は湊川神社、社格は別格官幣社と決まり、5月には社殿が完成。写真は明治10年頃から20年代前半の撮影であろう。手前の建物は拝殿、奥は本社である。写真には写っていないが、元禄5年(1692)に徳川光圀(みつくに)が建てた「鳴呼忠臣楠子之墓」(ああちゅうしんなんしのはか)の石碑などが現存する。神社北方の丘陵には、後に実業家大倉喜八郎(おおくらきはちろう)が別荘を営んだのにちなんで、明治44年(1911)大倉山公園が開園される。その右手の宇治野山には、明治29年(1896)兵庫県立神戸測候所が創設され、大正9年(1920)に日本最初の海洋気象台が発足する。

■ 確認結果

目録番号:1149「神社(3)」は、目録番号:1540「生田神社(3)」と同じ神社を撮影した写真である。目録番号:1540「生田神社(3)」は、タイトルが「生田神社」となっているが、画像解説では「湊川神社の写真である」とし、解説している。

湊川神社(みなとがわじんじゃ)は、兵庫県神戸市中央区にある楠木正成を祭る神社。地元では親しみを込めて「楠公(なんこう)さん」と呼ばれている。建武中興十五社の一社で、旧社格は別格官幣社である。
生田神社(いくたじんじゃ)も、同じ神戸市中央区にある神社だが、古写真の中央建物は、当時の「神能殿」のようであり「湊川神社」が正しいと思われる。