早里のイスノキ 伊万里市瀬戸町早里
「さが名木100選」の木をやっと訪ね終えた。ホッとして佐賀県HP「佐賀県天然記念物の部」を見ていたら、「小川内のスギ」「早里のイスノキ」が県指定天然記念物なのに、100選の木に選ばれていない。
他の木は、すべて100選の木となっているのに、なぜこの2本は選ばれなかったのか。「小川内のスギ」は福岡県側でのダム建設により、伐り倒されるような運命にあり、少しは事情はわかるが、「早里のイスノキ」のは何もないようだ。訪ねないわけにはいかない。
県指定天然記念物になったのが、平成18年3月であるためだろうか。
伊万里市瀬戸町早里とは、「伊万里湾大橋」の近くである。長崎からなら伊万里二里大橋から松浦の方へ国道204号線を行って、大橋を渡り戻ってすぐである。伊万里市街からなら同じ国道204号線が伊万里湾沿いを行くので、玄海町方面へ向かう。
イスノキは、「早里」バス停のすぐ近く北西側小高い丘に立つ。一面の干拓地を望む。
佐賀県HP「佐賀県天然記念物の部」による説明は次のとおり。
早里のイスノキ (はやりのいすのき)
県指定天然記念物/平成18年3月31日指定
伊万里市瀬戸町字早里 植物
早里のイスノキは、江戸時代の干拓地を望む小高い丘の上に立っている。樹高15m、胸高幹周り3.1mの巨木で、枝張りは南北15.5m、東西13.9mにも及ぶ。樹齢は200年以上と推定される。周辺にはスダジイ、マテバシイ、クロキ、アラカシなどが生育している。
イスノキはマンサク科イスノキ属の常緑高木で、日本においては、本州(伊豆以西)、四国、九州という広い範囲に分布する。西日本ではユスノキというのが一般的である。材質は緻密で高い強度をほこる。用途は、建築材(床柱、床材)、家具、鉢、算盤など多様である。また、樹皮の灰は釉薬の原料としても使用され、鉄分が少ないため最良とされる。
磁器生産が盛んな伊万里・有田地区においてイスノキが釉薬の原料として使用されるようになったのは、17世紀の中頃からと考えられる。当初は地元のイスノキを使ったと推察されるが、次第に地元のイスノキだけでは需要に追い付かなくなり、日向や薩摩などで生産されたイス灰を購入するようになる。
近年、イスノキは開発による伐採のため減少し、自生するものは稀である。県内では早里のものが最大である。