長崎外の幕末・明治期古写真考 目録番号:1111 牡丹園(1) ほか
HP「長崎大学附属図書館 幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベース」などに収録している長崎の古写真について、撮影場所などタイトルや説明文に疑問があるものを、現地へ出かけて調査するようにしている。順不同。長崎以外の気付いた作品も取り上げる。
目録番号:1111 牡丹園(1)
〔画像解説〕
鑑賞用の牡丹の花を栽培する日覆いのある花園である。様々な色の牡丹の花の中に上半身をのぞかせて立つ2人の女性に華やぎを与えている。小川一真得意とする女性像である。
目録番号:4310 牡丹園(2)
〔画像解説〕
温室の中で咲き誇る牡丹園と見物の女性たち。温室は竹で組んだ規模の大きなもの。
■ 確認結果
目録番号:1111「牡丹園(1)」と、次の目録番号:4310「牡丹園(2)」は、東京の深川にあった「四ッ目の牡丹園」であろう。〔撮影者:小川一真〕だろうか。
石黒敬章氏編「明治・大正・昭和 東京写真大集成」新潮社2001年刊403頁に、同じ写真が掲載されている。同解説は次のとおり。
【四ッ目の牡丹園】ⅠⅠⅠ22−06
深川区本村町(現江東区毛利1丁目)にあった名高き四ッ目の牡丹園。幾種類もの牡丹が牡丹園に充ちあふれ、妍を競っていた。亀戸で藤を見て、牡丹園を訪れるのが花見の順路だった。園主の成家文蔵は植文といった方が通りがよかった。障子格子に油紙を市松模様に貼って、光の調節をしている。明治中期。〔Y〕