早崎漁港のアコウ群落 南島原市口之津町乙
南島原市口之津町の早崎漁港は早崎半島の突端。有明海の急流早崎瀬戸を挟み、天草がすぐ眼前に見える。早崎漁港へは島鉄フェリー側からも行けるが、加津佐白浜海水浴場側から行く方が、道路が整備されてわかりやすい。早崎灯台や早崎自然公園の案内標識により進む。
漁港の上に着くと、岸壁と集落の間にアコウの緑が長く帯となって一帯を覆い、圧巻の光景が広がる。何れも古樹・大樹ぞろい。枝張りの間隔を置いて、海岸一帯に20本近く群生している。説によると有明海の干潟ではアコウは育たない。土砂の堆積が常にある。アコウの実が南方から流れ着く先が早崎海岸あたりであろう。
防風林として植えられたものとしても、全国にもほとんどない貴重なアコウ群落地と思われる。市指定天然記念物だが、県指定くらいにならないか。紹介している本やHPはあまりなく、知られていない。
Otoji.K氏HP「長崎県の名木」リストの中の説明は次のとおり。
アコウ(赤榕) クワ科イチジク属 常緑高木
幹から気根を出す。葉は互生し楕円形〜長楕円形で厚い洋紙質。葉柄は3〜6cm。3〜4月、いっせいに落葉し、すぐ新芽を出す。5月頃、花のうを多数つけ、8月頃淡白紅色に熟する。小枝を傷つけると白い乳液がでる。
口之津町早崎半島・浜地区の漁港にあるアコウ。撮影は6月初旬。気根が垂れ絡み合っていて、ガジュマルに似ていて南方系の木であることが実感される。南方からアコウの実が流れ着いたと言われている。島原半島で見るアコウでは、ここが最も群生しており町の天然記念物に指定されている。
樹齢300年を越える。堤防から乗り出した アコウもある。海岸の堤防を越えて枝葉を伸ばしているアコウ。太いアコウは二本の根が絡まって小さなトンネルを造っている。
五島列島・奈良尾町のアコウは、国の天然記念物になっている。
口之津町は国立海員学校がある港町である。昔は三池炭坑の石炭を運ぶ港として活躍した町であり、「からゆきさん」が旅だった哀しい一面のある港町である。有明海に面し、今は天草行きの船から「イルカの見れる町」である。運が良ければ有明海で飛び跳ねる愛らしいバンドウイルカを見ることができる。「からゆきさん」がイルカになって戻ってきたのだろうかと、つい思ってしまう。果実は7月。若葉は4月。