長崎の幕末・明治期古写真考 目録番号:5869 対馬(2)
HP「長崎大学附属図書館 幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベース」などに収録している長崎の古写真について、撮影場所などタイトルや説明文に疑問があるものを、現地へ出かけて調査するようにしている。順不同。長崎以外の気付いた作品も取り上げる。
目録番号:5869 対馬(2)
対馬関連作品は、ほかに目録番号:5867(1)、5870(3)、5876(4)、5877(5)、5878(6)がある。
■ 確認結果
目録番号:5869「対馬(2)」は、撮影地が長崎県対馬の6作品の1枚である。画像解説がなく、撮影者・撮影年代とも未詳となっているが、現在の対馬市美津島町尾崎漁港を撮影している。
前記事とした目録番号:5878(6)の、大島にある「都々智(つつち)神社」(里宮)のまだ手前、尾崎漁港入口のバス停あたりからの景色である。
ほかの関連写真も、近辺の集落や海岸と考えられるが、調査時間がなく、まだ確証を得るまでに至らなかった。
目録番号:5878「対馬(6)」は、朝日選書862「龍馬が見た長崎 古写真が語る幕末開港」2009年刊の189頁に掲載があり、撮影者を次のとおり解説している。
目録番号:5869「対馬(2)」もこのとき撮影された湾内の1枚で、撮影者はヘンリー・スチュアートである。
82 都々智神社とイギリス軍艦
対馬の浅茅湾に進入したイギリス海軍ヴァーノン号と都々智神社。1861年にはロシア艦隊がこの湾の一部を半年間占拠した。
ヘンリー・スチュアート撮影、1890年、鶏卵紙、15.2×10.3
1890年、イギリス海軍の軍艦ヴァーノン号が対馬の浅茅湾に停泊しました。この軍艦の見習い将校ヘンリー・スチュアートが撮影した対馬の大島の都々智神社と軍艦の写真です (写真82)。場所は湾の入り口付近で、対馬を撮影した写真としては最古のものでしょう。長崎大学にはこのき撮影された湾内の写真がほかに5枚残されています。…