西山神社の寒桜とザボンの木 長崎市西山本町
長崎聖堂の学頭で唐通事であった盧草拙(ろ そうせつ)が、自宅に祀っていた北辰と妙見の星像を、自分の所有地の西山郷に妙見社として建立することを長崎奉行に願い出て享保4年(1719)に創立した。以来、里人に星の神様『妙見様』として親しまれてきたが、明治の神仏混淆禁止令によって祭神を変え、西山神社となった。
境内には寒桜(元日桜 市指定天然記念物)や日本最初のザボンの木(恐らく子孫)がある。このザボンは、寛文7年(1667)にジャワから持ち込まれたもので、草拙がその種をまいて見事に育てたものと言う。
なお、草拙は延宝3年(1675)生まれであるから、ザボンを植えたのは、父の草碩であったと思われる。草拙は儒学者であるとともに天文学にも詳しく、享保3年(1718)には有名な西川如見とともに江戸城に招かれ、将軍吉宗に天文学の講義をしている(江越弘人氏「西山街道歴史散歩」資料から)。
西山神社は、長崎市西山本町にある。現地説明板は次のとおり。ザボンの木で東側高台にあるのが三代目と思われる樹の写真である。
なお境内には、長崎の名水の一つ「椎の木の水」と、昭和61年沖縄からの苗木で育てた「沖縄の緋寒桜」もあった。
市指定天然記念物 西山神社の寒桜
指定年月日 昭和49年6月18日 所有者 西山神社
寒桜(カンザクラ)は、名前のとおり真冬に咲く。普通、2月上旬頃から全開の淡紅色の5弁花が咲き始める。花期が珍しい桜の一種である。
このカンザクラは、樹高7m、胸高幹囲1mで、明治30年(1897)植樹のものである。開花期がカンザクラのなかでも特別に早く、1月上旬には開花し、2月上旬には終わる。
カンザクラには野生がない。このサクラの形質などから、カンヒザクラ(寒緋桜)とヤマザクラ(山桜)の自然交雑の里桜という説が有力である。
長崎市教育委員会 (平成元年3月設置)
ザ ボ ン の 木
この神社を建てた、長崎聖堂の学頭で唐通事であった盧草拙(ろ そうせつ)に、寛文七年(一六六七年)ジャワから持って来たザボンの種子を、唐船船長・周 九娘より渡され、神社の境内にその種子を播いたところ見事に成長し、その元木の種子が各地に播かれ長崎近郊は勿論島原半島・鹿児島地方まで産出されるようになったが、このザボンの木は元木の四代目である。なお、三代目の樹がこの家の裏に枝を張っている。
妙見宮 西 山 神 社