長崎外の幕末・明治期古写真考 目録番号: 598 屋形舟(2) ほか
HP「長崎大学附属図書館 幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベース」などに収録している長崎の古写真について、撮影場所などタイトルや説明文に疑問があるものを、現地へ出かけて調査するようにしている。順不同。長崎以外の気付いた作品も取り上げる。
目録番号: 598 屋形舟(2)
〔画像解説〕
整理番号12-28と同じ。川を航行する屋形船に多くの人が乗船している。船頭2人が櫓をこぎ、他の12人は客か。男女入り交じった客はそれぞれ思い思いの場所でポーズをとっているが、川遊びか渡し船の演出写真と思われる。
目録番号: 628 屋形舟(3)
〔画像解説〕
整理番号12-28と同じ。川を航行する屋形船に多くの人が乗船している。船頭2人が櫓をこぎ、他の12人は客か。男女入り交じった客はそれぞれ思い思いの場所でポーズをとっているが、川遊びか渡し船の演出写真と思われる。
■ 確認結果
目録番号: 598「屋形舟(2)」と、目録番号: 628「屋形舟(3)」は、同じ光景の写真。山谷堀が隅田川に流れ込む河口にあった有明楼(ゆうめいろう)前の今戸河岸で撮影。背景は向島で牛島神社や長命寺のある辺りだろう。
大正14年(1925)東京朝日新聞社発行『アサヒグラフ臨時増刊写真百年祭記念号』に同じ写真が、「内田九一氏と東京隅田川の舟遊」として載っている。
説明に「明治七年頃の撮影で舟中欄干にもたるるは内田九一氏 平田健一氏所蔵」となっている。内田九一の弟子か、「臼井秀三郎」の撮影とされる。
この項は次の記事を参照。 https://misakimichi.com/archives/2230
今回、目録番号: 598「屋形舟(2)」と、目録番号: 628「屋形舟(3)」の2作品を取り上げたのは、カラーが鮮明。一見、同じような写真に見えるが、比べてみると「背景の富士山が消えた」「着物の色が変った」「別物がある」など、違う点がある。
比較写真で主なものに青囲み線をした。カラーの技術上のことだろうが、写真がこんなに変る見本として見てもらいたい。