長崎外の古写真考 目録番号:2665 隅田川の舟遊び(2) ほか

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長崎外の幕末・明治期古写真考 目録番号:2665 隅田川の舟遊び(2) ほか

HP「長崎大学附属図書館 幕末・明治期日本古写真メタデータ・データベース」などに収録している長崎の古写真について、撮影場所などタイトルや説明文に疑問があるものを、現地へ出かけて調査するようにしている。順不同。長崎以外の気付いた作品も取り上げる。

目録番号:2665 隅田川の舟遊び(2)
〔画像解説〕
明治4年(1871)〜6年(1873)に来日した、有名なアメリカの国民的詩人ヘンリー・ロングフェロー(Henry Wadsworth Longfellow)の長男チャールズ・ロングフェロー(Charles Appleton Longfellow)の記念アルバムに同じ写真が貼ってある。チャールズが内田九一に依頼して撮影したと思われる。障子の間から顔を出している大柄な和服を着た男がそのチャールズの可能性がある。左から2人目の女性は山谷堀にあった料亭有明楼(ゆうめいろう)の女将お菊で、他はチャールズ馴染みの芸者。

目録番号:4583 隅田川の舟遊び(3)
〔画像解説〕
山谷堀が隅田川に流れ込む河口にあった有明楼(ゆうめいろう)前の今戸河岸で内田九一が撮影。浅瀬なので舟が浮いていない。それでブレずにシャープに撮れている。背景は向島で牛島神社や長命寺のある辺りである。この度長崎市立博物館所蔵の内田九一撮影のアルバムの中にこの写真を見つけ、九一撮影だと確認した。撮影は明治5年と思われるが、本写真は後に複写され販売されたもの。

目録番号:4772 隅田川の舟遊び(5)  関連作品 目録番号:2658 同(5)、4623 同(4) 
〔画像解説〕
大正14年(1925)東京朝日新聞社発行『アサヒグラフ臨時増刊写真百年祭記念号』に同じ写真が「内田九一氏と東京隅田川の舟遊」として載っている。説明に「明治七年頃の撮影で舟中欄干にもたるるは内田九一氏 平田健一氏所蔵」となっている。九一は洒落者だったので洋服姿で写った写真が多い。これは和服なので珍しい。

■ 確認結果

内田九一撮影「風頭山の行楽風景」を調べていて、この写真もHP上でわかった。 
1枚目の目録番号:2665「隅田川の舟遊び(2)」と、2枚目の目録番号:4583「隅田川の舟遊び(3)」は同じ作品。「この度長崎市立博物館所蔵の内田九一撮影のアルバムの中にこの写真を見つけ、九一撮影だと確認した」らしいが、「撮影者:内田九一」と入力修正しないと、撮影者検索で内田九一作品として出てこない。

内田九一が大阪で開業した現内田写真株式会社所蔵写真。2010年1月に東京ウォーカーで開催された「貴重な写真約130点を展示!坂本龍馬と幕末を知る写真展」に展示された。
この項は次で確認。 http://news.walkerplus.com/2010/0115/17/photo07.html

次に3枚目の目録番号:4772「隅田川の舟遊び(5)」は、舟に乗っている人数が多い。「明治七年頃の撮影で舟中欄干にもたるるは内田九一氏 平田健一氏所蔵」写真。
内田九一の弟子か「撮影者:臼井秀三郎」となっている。関連作品の目録番号:2658 「同(5)」と目録番号:4623「同(4)」も同じ写真なので、同様に修正が必要。