延命水そばのハマヒサカキ? 長崎市高浜町
長崎市高浜町にある延命水は、「みさき道」途中の水場で、「奉供延命水」と刻んだ古い石碑(別項)が建ち、地蔵祠がある。
地蔵祠そばの木について、野母崎町「野母崎町郷土誌」昭和48年刊35頁に外山三郎氏稿の町にある「巨樹」があり、次のとおり記している。「野母崎町郷土誌 改訂版」昭和61年刊も同じく紹介している。
○野中の地蔵とハマヒサカキ
高浜の野中の路傍に地蔵をまつる小宇(宇はのき、ひさしの意)があって清水がわいている。「奉供延命水」の文字を刻んだ石柱が建っている。小宇横のどてから斜にハマヒサカキの巨樹が出て小宇をおおっている。この樹は目通り1.18m、樹高8mほどでハマヒサカキとしては珍しい巨樹といえる。
延命水そばの木は前から気にしていた。ここには戦前まで、「野中の一本松」という有名な大松もあった。ハマヒサカキの珍しい巨樹らしいから、確かめに行った。写真は上のとおり。当時から35年経ち、木は目通り2m、樹高10mほどの巨樹となっている。
この木はしかし、どう見ても樹皮の色や葉の格好から、イヌガシやシロダモのような木である。この近くに他に巨樹は生えていない。右脇にくさび形の小葉の灌木があった。これがハマヒサカキとも似ている。根元を見ると、巨樹の株枝の下からくぐり出て生えていた。巨樹と灌木は完全に別の樹種である。
外山先生が見間違うと思われず、郷土誌に記した木はどの木なのか、今苦慮している。延命水の石碑は安政四年(1857)に建てた刻みがある。ハマサカキにしても当時植えられたものなら、樹齢は150年以上となる古木となろう。
高崎市郎先生の「ふるさとものがたり」によると、川原木場のヒジキ様に大榊があったことは先に載せた。数年前、枯れてなくなったが、サカキにまつわるいろいろな話があるものだ。